今回頂いた質問

「ビタミンB12が欠乏すると貧血になる」と授業で習いましたが、どのような関連があるのかがよく分かりません。

ビタミンのうち、貧血の原因となるものに、ビタミンB12があります。

ビタミンB12は、葉酸と協力して、赤血球の生成に深く関わっています。
通常は、骨髄の中で【赤芽球】が細胞分裂を繰り返し、成熟することで、赤血球の形になります。しかし、ビタミンB12が不足すると、細胞が「赤血球」の形へとうまく育つことができません。そのため、「赤血球」の前段階の形である【赤芽球】という形のまま、脊髄の中でどんどん大きく成長してしまいます(成長した赤芽球を【巨赤芽球】といいます)。

【巨赤芽球】や、巨赤芽球が成長してできた赤血球は、正常より大きな形をしていますが、とても壊れやすいという特徴があります(これを「無効造血」といいます)。
例えるならば、空気が少し入った風船よりも、空気がパンパンに入った風船の方が割れやすい、というイメージでしょうか。

このことから、「ビタミンB12が不足すると(正常な赤血球が産生できなくなるため)貧血になりやすい」といわれているのです。

では、ここまでを理解した上で国家試験問題を実際に解いてみましょう。

問題

第96回 看護師国家試験 午前問題17

不足すると貧血になるのはどれか。

1.ビタミンA
2.ビタミンB12
3.ビタミンD
4.ビタミンE

1.× ビタミンA欠乏症には、夜盲症・角膜乾燥・毛嚢角化症などがある。
2.○ 正しい。
3.× ビタミンD欠乏症には、くる病・骨軟化症などがある。
4.× ビタミンE欠乏症には、神経障害などがある。

正解は… 2

編集部より

ビタミンB12の過剰摂取による副作用は、今のところ特に認められていませんが、その他のビタミンは、欠乏あるいは過剰摂取によって何らかの症状が出現するものもあります。ビタミンの欠乏および過剰摂取による症状については、例年の看護師国家試験でも頻繁に出題されていますので、この機会にぜひ、まとめておくと良いでしょう。