今回頂いた質問

114回の国試で、梅毒に関する問題がありました。
最近、感染者数も増えているそうですが、どんな点を理解しておけばいいでしょうか。

ご質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、近年急激に感染者が増えて、厚生労働省も多様な啓もう活動を行っています。
今回は、感染者数の動向、梅毒の症状や治療法などについて説明します。

1.梅毒の感染者数

厚生労働省によると、令和5年(2023年)の梅毒患者報告数は感染症法に基づく調査が始まって以来、最も多い15,055人でした。
下の図によると、梅毒はここ10年で感染者数が急増し、コロナ禍で一時減少したものの、令和4年(2022年)~同5年(2023年)にかけて患者数が1万人以上となり、流行の勢いが止まりません。

梅毒は性感染症なので、不特定の人と性交渉をする人が増えていることが原因として考えられます。
また、梅毒は平成24年(2012年)頃までは患者数が少なかったため、人々の認知度が低く、異常を見逃してしまうことも感染者数の増大に影響していると思われます。

2.梅毒の感染経路・症状

梅毒に関して理解しておくべきことは、感染経路や症状、治療、予防についてです。

感染経路

梅毒トレポネーマという病原体が、唾液、精液、膣分泌液を介して感染します。感染した妊婦から、胎盤を介して胎児に感染することもあります。

症状

第Ⅰ~Ⅳ期に分けられます。

●第Ⅰ期:感染後3週頃に外陰部に初期硬結が生じたり、無痛性の鼠径リンパ節腫脹が生じたりします。3週間後にはこれらは消退します。
●第Ⅱ期:感染3ヶ月頃に全身に広がった病原体が、ばら疹(淡紅色の斑)として全身に現れます。陰部、腋窩、乳房下、口角では湿潤した扁平丘疹(扁平コンジローマ)がみられます。これらは3年ほど消退、出現を繰り返します。
●第Ⅲ期:感染後3年以降に現れます。鶏卵大のゴム種という、弾力のある紫紅色の結節が四肢、体幹、顔面などに生じ、潰瘍化、瘢痕化していきます。
●第Ⅳ期:心・大血管、神経系、骨、筋肉、肝臓などに病変を形成します。

3.梅毒の治療、予防

治療

ペニシリン、エリスロマイシンなどの抗菌薬で治療します。パートナーの検査と治療も同時に進める必要があります。

予防方法

梅毒は感染後に免疫が獲得されません。つまり、病原体に接触すれば二度も三度も感染する危険性があるのです。感染防止に有効とされるのは、性行為の際のコンドーム使用ですが、効果は100%ではありません。

以上が質問の回答です。
では、「梅毒」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第114回看護師国家試験 午後問題53

梅毒について正しいのはどれか。
1. ワクチンによる予防が可能である。
2. パートナーの検査は不要である。
3. ウイルス感染症である。
4. ばら疹を認める。

正解…4
1.× 梅毒のワクチンは存在しない。
2.× パートナーも感染している場合があり、パートナーの検査・治療を同時に進めないと再感染する危険性がある。
3.× 病原体はウイルスではなく、梅毒トレポネーマである。
4.○ 梅毒第Ⅱ期にばら疹がみられる。

●「性感染症」について理解を深めるには、科目別強化トレーニング

編集部より

性感染症には、梅毒の他にもクラミジアやHIV、淋病などがあります。性感染症に罹患している患者は、同時に複数の病原体に感染している場合が多いと言われています。各感染症の病原体や症状、治療については、過去の国試でたくさん出題されています。特にクラミジアは女性が感染すると卵管を癒着させてしまい、不妊の原因になるといわれているため頻出です。学習を深めておきましょう。