今回頂いた質問
厚生労働省のホームページで「ピアサポーター」という表記を見ました。ピアサポーターは、どのような活動をしているのですか?
「ピア(peer)」は仲間や同僚という意味があり、ある問題の当事者が同じ問題を抱える者を仲間の立場で支援し合うことを「ピアサポート」といいます。
精神保健領域におけるピアサポートは、精神障害者が自らの体験に基づいて、仲間の障害者を支援する活動を指し、支援する障害者を「ピアサポーター」と呼んでいます。
ピアサポーターの活動は、精神障害者の自宅に出向いて生活支援(通院、買い物など外出時の付き添い等)をしたり、障害者や家族が集まっている場で自らの体験を語ったりします。
また、アルコール依存症のためのAA(Alcoholics Anonymous)、薬物依存症のためのNA(Narcotics Anonymous)などのセルフヘルプグループも各地で活動をしています。
ピアサポーターの重要性は社会的にも認知され始めています。厚生労働省では、「精神障害者の地域移行・地域定着支援事業の取り組み」に、精神障害者の視点を重視した支援を充実する観点や、精神障害者が自らの疾患や病状について正しく理解することを促す観点から、ピアサポートを積極的に活用するよう明記しています。
※厚生労働省「精神障害者の地域移行について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/chiiki.html
回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第102回 看護師国家試験 午前32問題
同じ問題や悩みを抱えた人々が助け合う活動はどれか。
1. ケースワーク
2. ピアサポート
3. コミュニティワーク
4. コンサルテーション
2. ○ 正しい。仲間の立場で支援し合う活動をさす。
3. × コミュニティワークとは、地域のニーズや課題を、その地域が主体となり解決していけるように援助することである。直接的な援助であるケースワークとは違い、地域診断や社会サービスの開発など間接的なアプローチとなる。
4. × コンサルテーションとは、ある特定分野の専門家が、異職種の専門家に対して助言指導を行い問題解決に導く過程をさす。
答え…2
編集部より
「ピアサポート」は精神保健領域だけではなく、がんや難病の患者さんの間でも普及しています。また、大学などにおいて、学生同士のサポート活動としてこの言葉を使っている例も多く見受けられます。同じ立場の人によるサポートは心強い存在のはず。これからさらに広がっていくことでしょう。