今回頂いた質問

110回の国試で、精神保健福祉相談員についての出題がありました。授業などではあまり詳しく習っていませんし、国試にもあまり出題されていないようです。具体的にどんなことをするのでしょうか。教えてください。

ご質問ありがとうございます。

ご質問のとおり、「精神保健福祉相談員」についての国試出題は初めてではないでしょうか。
今回は、精神保健福祉相談員とその業務内容について説明していきたいと思います。
 

1.精神保健福祉相談員とは?

精神保健福祉相談員は、精神障害及び精神障害福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉の第48条に規定され、保健所や精神保健福祉センターに配置されています。精神保健福祉士、医師等で、精神保健福祉相談員として必要な知識および経験を有する者のうちから、都道府県知事の任命を受けます
精神保健福祉相談員は、精神障害者やその家族を対象に、精神保健及び精神保健福祉に関する相談に応じ、精神障害者や家族等を訪問して、必要な指導や支援を行っています。

 

2.業務内容は?

精神障害者は精神状態が不安定になったり、不安を抱いて生活していたりする場合があります。入院中であれば、医師や看護師が異変に気が付いたり、本人から直接相談することができます。
一方、地域の日常生活において、同じような精神状態になったときに相談する相手が、精神福祉相談員です。精神福祉相談員は、相談にのりつつ、病状の回復や悪化を防ぐよう支援をしています。また、精神障害者や家族の相談に応じながら、精神障害者が社会復帰できるよう助言や支援を行います
さらに、精神保健福祉相談員の所轄地域内の精神保健福祉に関する実態把握や、精神疾患の正しい理解促進のための普及や啓発活動も行っています。

 
以上が質問の回答です。
では、「精神保健福祉相談員」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第110回看護師国家試験 午前問題60

都道府県知事の任命を受けて、精神保健福祉センターで精神障害者や家族の相談を行うのはどれか。

1. ゲートキーパー
2. ピアサポーター
3. 精神保健福祉相談員
4. 退院後生活環境相談員

1.× ゲートキーパーは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切に自殺予防を図ることができる人である。
2.× 同じ病気や障害を体験している者が支援員となり、精神障害者の相談や生活支援を行う人である。
3.○ 精神保健福祉相談員は、保健所や精神保健福祉センターで、精神障害者やその家族の相談に応じて、病状の悪化を防ぐとともに、社会復帰できるように支援する職種である。
4.× 退院後生活環境相談員は、医療保護入院患者を対象に、患者や家族の退院への意欲を喚起したり、退院後の生活環境に関して相談などに応じたりする職種である。
正解…3

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編集部より

看護師国家試験においては、連携すべき職種を問う問題の出題頻度が高いです。特に、都道府県知事の任命を受けて、精神保健福祉相談員を担う職種の一つである精神保健福祉士は、状況設定問題の選択肢に頻出しています。精神保健福祉士は、精神障害の医療を受け、または社会復帰促進施設を利用している精神障害者に、社会復帰に関する相談、助言、指導を行う職種であることも、しっかり覚えておきましょう。