今回頂いた質問

鎮痛剤はどこの痛みにも使えるのですか? またその副作用はどのようなことがありますか?

ご質問ありがとうございます。
鎮痛剤の代表的なものとして、ここではNSAIDsを取り上げます。NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬のことです。

NSAIDsの作用機序について

痛みはアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)で変換することにより、プロスタグランジンという物質が体内でつくられ、これが神経系の痛覚を刺激し、同時に体温も上昇させることがわかっています。
NSAIDsは、その局所においてCOXでの変換を阻害することによって、プロスタグランジンが作られるのを抑えて、鎮痛、解熱効果を発揮します。
COXは多くの細胞に存在するので、頭痛専用、腰痛専用などということなく、NSAIDsは色々な場面で利用されます。つまりご質問通り、局所であればどこの痛みにも使えると言えます。

 

副作用について

様々な痛み、また解熱に利用されるNSAIDsですが、副作用として、胃腸障害と腎障害は常に注意が必要です。
特に胃腸障害は、長期服用患者に高頻度で起きる副作用です。
また高齢者は、腎機能が低下していくことが多いので、より注意が必要です。

 
以上が質問の回答です。
では、「鎮痛剤」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第107回看護師国家試験 午後問題16

インドメタシン内服薬の禁忌はどれか。

1. 痛風
2. 膀胱炎
3. 消化性潰瘍
4. 関節リウマチ

1.× 
2.× 
3.○ 
4.× 
インドメタシンは、NSAIDsの1つである。その他に、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)などがある。インドメタシン内服薬は、選択肢3の消化性潰瘍のある患者には禁忌となっている。そのほかには、重篤な血液異常、肝障害、腎障害、心機能不全、高血圧、膵炎の患者、アスピリン喘息またはその既往のある患者、妊娠または妊娠している可能性のある女性、利尿薬のトリアムテレンを投与中の患者には投与しないこと、とされている。

正解…3

●解熱鎮痛剤についてについて理解を深めるには、コチラ

編集部より

NSAIDsは色んな痛みに利用されるので、処方される場面を頻繁に見ることになるでしょう。多く利用されている薬なので、副作用に出くわすことも多くなります。副作用を起こす前に、あらかじめ禁忌疾患である胃潰瘍の既往歴の確認、血液検査でのクレアチニン値などを確認しておくことも重要な役割となります。