今回頂いた質問

第105回の看護師国家試験で出題された「立ち直り反射」について教えてください。

ご質問ありがとうございます。習った覚えはあるんだけど……という感じでしょうか?
よくありますよね。

立ち直り反射は姿勢反射のひとつで、姿勢が崩れたときに、重力に抗して頭部や体幹を正しい位置に保ち、直立姿勢を保つ反射です。地球には重力があるので、直立姿勢のためには、重力に対抗する働きが必要になるんですね。

そして、姿勢反射の中枢は中脳にあります。姿勢の保持には頸筋の筋紡錘、前庭器官(半規管と耳石器)、眼からの入力が関与しています。また姿勢が変化する際に、視線を保つための眼球運動も同時に起こります。

中脳は対光反射の中枢でもあり、また動眼神経及び滑車神経の出る部位です。
脳に占める中脳の位置をノートにまとめたり、図で整理したりして、中枢神経系としての中脳の役割は何なのか、しっかりと理解しておきましょう。

【中枢神経系】
・大脳皮質:運動中枢、感覚中枢、聴覚中枢、視覚中枢、言語中枢、情・知・意の中枢
・間脳視床下部:自律神経の統合中枢、体温調節、水代謝、性欲、食欲、睡眠の中枢
・中脳:身体の姿勢、眼球運動、対光反射の中枢。動眼神経、滑車神経が出る
・橋:延髄と中脳や大脳、中脳および大脳と小脳を結ぶ神経線維の通路。三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経が出る
・延髄:心臓・血管中枢、呼吸、唾液、咀嚼・嚥下、嘔吐、咳嗽の中枢。迷走神経、舌咽神経、副神経、舌下神経が出る
●脳の構造

脳の構造

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第105回 看護師国家試験 午前問題81

立ち直り反射に関与するのはどれか。2つ選べ。

1. 視細胞
2. コルチ器
3. 圧受容器
4. 化学受容器
5. 頸筋の筋紡錘

1.○ 姿勢の保持には目からの入力が関わるので、視細胞が関与するといえる。
2.× コルチ器は、内耳の蝸牛にある聴覚受容器である。
3.× 圧受容器は心房、心室や肺動脈、大動脈弓、頚動脈洞などの壁にある。血圧を感知する。
4.× 化学受容器は感覚受容器のひとつで、化学物質による刺激を受け取る場所である。
5.○ 姿勢の保持には頸筋の筋紡錘が関与する。

正解…1・5

関連ページもチェックしてみよう!
医教の国試対策勉強法【第3回】全11科目別国家試験対策「人体の構造と機能」パート2

●「人体の構造と機能」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「人体の構造と機能」

医教では、「国試に役立つみんなの質問」を募集します。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部より

実際の国試でも「立ち直り反射って何?」と思った学生は多かったようです。しかし立ち直り反射が「姿勢反射」であることに思い至れば、解答は決して難しくありません。丸暗記ではなく意味を理解して学んでおくと、言葉が変わっても応用が利きますね。本番で慌てないためにも、意味を常に意識した学習を心がけましょう。