今回頂いた質問

妊娠中のマイナートラブルはどんなものがありますか。

ご質問ありがとうございます。

「マイナートラブル」は、妊娠によるホルモンの変化や子宮の増大によって生じる不快症状をさします。その症状は様々で、精神的因子も関係するため個人差が大きいのが特徴です。
妊娠経過や胎児に直接の影響を及ぼすことはありませんが、妊婦さんの不快感を軽減するためにも適切に対応することが望まれます。
下記に症状を挙げておきますので、それぞれの症状、そして予防法を教科書で再度確認しておくとよいでしょう。

妊娠中のマイナートラブル

・つわり
・めまい、立ちくらみ
・便秘
・腰背痛
・下肢のけいれん
・静脈瘤、痔
・頻尿
・浮腫
・胸やけ
・帯下
・瘙痒感

主なマイナートラブルへの対処法

つわり

起床後、簡単なものを食べてから起き上がる。少量を頻回に摂取する。

めまい、立ちくらみ

同一姿勢を長時間とらない。急な体位変換をしない。

便秘

適度な運動。食物繊維・水分の摂取。

腰背痛

正しい姿勢を保つ。妊婦体操を行う。寝る時は硬めの布団、マットレスに寝る。

下肢のけいれん

カルシウムおよびビタミンB群を十分に摂取する。適度に下肢を動かしたり、あたためたり、マッサージするによって血液循環を促す。

静脈瘤、痔

身体を締めつける衣服は避ける。

では、国家試験で出題された妊娠期のマイナートラブルに関する問題を解いてみましょう。

問題

第103回 看護師国家試験 午前問題84

妊娠期の不快症状と予防の組合せで適切なのはどれか。

1.下肢のけいれん――――葉酸の摂取
2.つわり――――――――においの強い食事の摂取
3.便秘―――――――――緩下薬の服用
4.腰痛―――――――――硬めのマットレス使用

1.× こむらがえりともよばれる。子宮の増大で下半身が血液循環不良になり起こる。カルシウムやビタミンB群を十分に摂取するようにする。貧血の場合に葉酸の摂取をすすめる。
2.× 吐き気や嘔吐、食欲不振が主な症状。空腹時やにおいによって誘発されることが多い。少量を頻回に食べるようにするとよい。
3.× プロゲステロンの影響で消化管の蠕動運動が低下し、便秘になりやすい。医師に相談したうえで緩下薬が処方されることもあるが、予防として用いられることは少ない。
4.○ 子宮増大や体重増加による重心の前方移動、ホルモンによる骨盤靱帯の弛緩など要因は様々。脊柱の自然なわん曲を保つためには、硬めのマットレスを使用する。

答え…4

編集部より

マイナートラブルの代表的なものといえばつわり。私の友人も、つわりの期間、ずっと船酔いが続いているようで辛かったと言っていました。多くの症状は自然に消滅するとはいえ、予防やケアの方法はしっかり覚えておきたいもの。妊婦さんにとっては、妊娠期を快適に過ごすことが、出産・育児をポジティブに受けとめることにつながります。