今回頂いた質問

白癬を持つ患者さんに合った足浴の目的や方法を教えてください。

ご質問ありがとうございます。白癬と白癬に感染しやすい患者様を想定してお返事をまとめてみました。

白癬は、白癬菌という皮膚の角質層に住むカビ(真菌)・皮膚糸状菌の仲間です。人間や動物の皮膚を住処として、湿度70%、温度15%以上で勢いよく増えるため、古い角質などをきれいに落として清潔にし、乾燥させておくことが予防・悪化防止の基本です。白癬の治療は、抗真菌薬の服用、外用薬の塗布ですが、外用薬の吸収をよくするためにも、汚れや古い角質とともに前回塗った薬をきれいに落としておくことが大切です。

白癬に感染する人は、抵抗力が落ちていることが考えられ、感染症を起こしやすいことが考えられる方の足浴では、皮膚を傷つけないよう特に注意が必要です。また、ストレスが原因で抵抗力や落ちている場合などには、足浴でのリラックスは、治療効果を高めることが期待できます。以上のことから足浴の目的や方法は次のようになります。

足浴の目的

1.足の皮膚を清潔に保ち、菌の繁殖防止、外用薬の効果を高める。
2.足浴による爽快感、リラックス感を得る。
3.患部の状態を観察する。

足浴の方法 :足浴は以下の点に留意する。

1.刺激の少ない石鹸で足趾間まできれいにあらう。
2.タオルなどでゴシゴシ刺激をしない。
3.しっかりすすぐ。
4.足浴後は、タオルで十分に水分をふき取る。

角質を落とし皮膚を清潔にすること、リラックス効果も高めることを目的に湯に足をつける時間を長めにしてもよいかと思われます。同様の効果を目的として、施設によってはアロマオイルを使用した足浴もあるようです。

また、糖尿病の方は白癬にかかりやすく、そのケアが合併症予防にとても大切です。模擬問題から、学習してみましょう。

問題

第95回 看護師国家試験 午後問題27

掻痒が強いのはどれか。
1.紫斑症
2.爪白癬
3.接触皮膚炎
4.結節性紅斑

1.× 紫斑症は表皮に炎症を伴うことは少ないため、掻痒強くはない。
2.× 角層が厚い部位に生じた白癬では必ずしも表皮に炎症をともなうことはなく、したがって、掻痒も強くはない。
3. 接触皮膚炎は「かぶれ」のことで、表皮の掻痒は強い。
4.× 炎症が表皮に及ぶことは少ないので、掻痒は強くない

正解は… 3

編集部より

足浴は、手軽にでき清潔と心地よさを提供できるすぐれもの。積極的にケアに取り入れてみてはいかがでしょう。白癬・・・ケアで感染したらと思うかもしれませんが心配御無用。健康な皮膚は、24時間以内にきちんと菌を洗い落としておけば感染しないとのことですよ。