看護師の仕事って想像以上に難しい…。
頼れるあねごに相談してみることにします。

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看取りの看護

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anego♡ikyo.jp
この間の夜勤で、受け持ちの患者さんが亡くなられました。肝硬変の末期で難治性腹水があり、腹水ろ過濃縮再静注法などいろいろな治療はしていましたが、肝硬変の悪化もあって亡くなられました。
死亡確認の後、ご家族から「本当にがんばったと思います。このお腹であの世に行くのはしのびないです。何か方法はありませんか?」と言われて、僕はどうしていいかわからなくて先輩に報告しました。そしてその後、主治医の先生と相談して、腹水穿刺をすることになりました。穿刺後、家族の方から「本当にありがとうございました。これで私たちも心残りなく見送れます」という話を聞いて、最期の瞬間は家族にとても大切な時間なんだと改めて感じました。
まだまだ看護技術も未熟だし、やっぱり死に関わると自分もとてもつらい。看護の限界を感じることもあります。僕たち看護師は何を心がけて看護すべきでしょうか?

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Re:看取りの看護

こんにちは。私も何年たっても患者さんの臨終の場面に立ち会うととてもつらいです。入院した患者さんすべてが元気になって退院できればいいのですが、現実にはやはり亡くなる方もいらっしゃいます。癌のターミナル期、高齢で苦痛を伴う侵襲的治療を望まない方、くも膜下出血や心筋梗塞など救急車で入院され、急性期治療の中、数日で亡くなる方など。患者さん一人ひとり、それぞれの疾患とその経過、取り巻く家族などの環境。一人として同じ最期はありません。

そして、その最期をどのように迎えるかは、患者さん自身だけでなく残された家族にとってもその後の人生に大きな影響を与える場合もあります。当たり前ですが、スタートはまず患者さん、そして家族の意思です。それを明らかにした上で、現在や今後のADLに合わせた援助、トータルペイン(身体的・精神的・社会的・霊的)に対して看護を行っていきます。

先日、「電気を消さないでほしい。なんだか怖い」と話された方がいました。家族の方が気遣って個室に入っていましたが、一人で暗い闇の中にいると死が近づいてくるのを感じてしまうとのことで、話し合いの後、大部屋に移動されました。何を患者さんが望んでいるのか親身になって話を聞くことが本当に大切だと思います。

また家族とすぐ連絡をとれる手段を確保することもとても大切です。緊急連絡先は入院時にも確認していると思いますが、再確認しましょう。以前、自宅に電話はあるけれど、難聴で出られないことも多いと話す高齢世帯の方もいました。最期の瞬間にできるだけそばにいたいと思っている人もいます。昨日と何が違うのか、特に呼吸循環の変化に留意して、悩んだら他の人に相談しながらご家族に早めに連絡をとることも必要です。

一人ひとり同じ最期はないと書きましたが、看護のプロとして援助をするためには、やはり一冊は看取りに関する看護の本も読んで欲しいと思います。個人的な話になりますが、私は『緩和ケアマニュアル』(淀川キリスト教病院・著)、『小澤竹俊の緩和ケア読本』(小澤竹俊・著)を読んでいました。きちんと論理的に記載された本を読み、理解した上で、目の前の患者さんに対して援助できることは必要だと思います。
もちろん正解はありません。だからこそ、いっぱい悩んで、いっぱい考えて、日々の業務に真摯に取り組んでいくのが大切なのでしょうね。
第9回 看護のプロフェッショナルとしての巻

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)