看護師の仕事って想像以上に難しい…。
頼れるあねごに相談してみることにします。

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handsome♡ikyo.jp
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申し送りのポイントを教えてください

宛先
anego♡ikyo.jp
前回は、夜勤業務のアドバイス、ありがとうございました。無事夜勤も独り立ちできて緊張しつつも頑張っています。
実は、今日は僕の悩みではないんですが…。病棟の同期の子が、うまく申し送りが出来ないと悩んでいて。僕も自信がないから、同期の仲間で申し送りのコツみたいなものを調べたりしました。大事だなと思ったのは、(1)事前の準備(情報収集が大事、メモを取る) (2)まねる(申し送りの上手な先輩は大事な見本) (3)時が解決する(回数をこなすと上手になる) でした。ただ、僕が気になるのは、悩んでいる同期の子は自信がないのか声が小さくて。申し送りのコツについて、ズバッと教えてください。

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Re:申し送りのポイントを教えてください

夜勤独り立ちおめでとう! 一歩ずつ成長しているのを感じて私も嬉しいです。私は、同期との出会いは奇跡、この出会いを大切にしてほしいといつも思っているので、同期を思いやることが出来るハンサム君に感動です。

看護師にとって、日々の業務は次のスタッフに引き継ぐのが常。看護の質を一定に保つためには、適切な申し送りは必要です。最近は、申し送りの簡略化を掲げる病院もあり、記録から情報収集するための工夫もされています。でも、申し送りが必要になるのは勤務交代時だけではありません。例えば手術室や心臓カテーテル検査入室時など、さまざまな場面で申し送りは必要となります。
新人の頃はこれが苦痛ですよね。言いたいことは間違っていないのに、なんだか相手がイライラしているのを感じたり、せっかく頑張った申し送りに対して先輩から厳しく突っ込まれたりすると更に落ち込むことも。みんなで調べた申し送りのコツ、ポイントをよくおさえていると思います。

今回の相談の中で、「よく気づいた!」と思うのが、申し送りも実はコミュニケーションの一環ということ。私たち看護師は、患者さんの表情・行動などに表出される非言語的コミュニケーションの重要性を知っているのに、実はスタッフも一緒ということを忘れがちです。緊張している時、先輩達の関係性で悩んでいる時、それがその表情・行動に出ています。

今回の場合、自信がないと下を向いてぼそぼそ話す傾向が強くなりがちですが、私たちはマスクを装着している場合も多く、相手には聞こえていない場合もあるんです。そもそも内容自体が聞こえにくく、要領を得ていない申し送りはやっぱり相手に伝わりにくい。せめて、大きな声でゆっくりと話す、声のトーンをあげる、を意識するだけでも変わるかもしれません。顔をきちんと上げれば、相手の反応を見ながら話すこともでき、今話していることが伝わっているか分かりやすくなります。

また、実は逆のケースもあります。大人びていて落ち着いていると見られがちの人の場合、周りが「この子は大丈夫だろう」と判断してしまい、実は悩んでいることも相手に伝わりにくくなることも。
申し送りは、内容を充実させるためのコツを理解し、場数を踏むのももちろんですが、自分自身の性格や周囲との関わり方などの傾向も分析できると、よりよい申し送りにつながるかもしれません。
第5回 非言語的コミュニケーションの巻

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)