今回頂いた質問
実習中、患者さんが担当医からの病状説明を受ける場面に立ち会いました。
病状説明の後、病室に戻った患者さんから、「先生の話は難しすぎて、よく分からなかった」という言葉が聞かれました。
学生としてどのように関わったら良いでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
患者自身が病気や治療について正しく理解し、自己選択できるよう働きかけることは、看護師が担う大切な役割です。
この事例のように、「先生の話は難しすぎて、よく分からなかった」という言葉が聞かれた際には、「○○という言葉が分からない」「治療のイメージがつかめない」など、患者がどのような点に疑問に感じているか確認しましょう。
ただし、学生の知識で答えられる疑問であっても、その場で即答するのは避けるべきです。なぜなら、病気のことをどのように(どの部分まで)話すかについては、スタッフ間での統一した対応が求められる場合があるからです。学生の説明や対応に不備があれば、学生のみならず医療全体への不信感を引き起こす危険性もありますから、慎重な対応が求められます。
患者の疑問が明らかになったら、いったん席を外し、今後の対応(いつ誰がどのように回答するかなど)について、臨床指導者へ事前に相談しましょう。患者さんから学生であるあなたに答えを求められたら、「私は学生ですので、念のため看護師に確認してから、正しい情報をお伝えしますね」と答えても大丈夫です。
必要であれば、病気や治療について個別性を生かしたパンフレット作りを行うのも良いですね(その際には、内容や構成について臨床指導者に相談してから、実際の制作に入りましょう)。
回答は以上になります。
では、第100回の国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第100回 看護師国家試験 午前問題3
インフォームドコンセントの説明で正しいのはどれか。
1. 病歴を個室で聴取すること
2. 処置の優先順位を判断すること
3. 説明をしたうえで同意を得ること
4. 障害者と健常者を区別しないこと
2. × 処置の優先順位を判断するのは、看護過程にあたります。
3. ○ 上記のとおり
4. × 障害者と健常者を区別しないのは、ノーマライゼーションの考え方です。
答え…3
編集部より
患者さんのインフォームドコンセントを図るのは、看護師にとって大切な役割です。がん治療専門の病院では、治療の選択がその患者の人生を大きく左右するため、患者さんへの説明は具体的かつ慎重に行われることが多いといいます。時には「私はどうしたらいいの?看護師さんはどう思う?」と、答えを求められる場面もあり、そのような際には、スタッフでの話し合いの上、傾聴と共感(必要に応じて知識の補足)をしながら、患者さん自身が答えを見出せるように関わるそうです。