今回頂いた質問
一次予防・二次予防・三次予防の中で、治療であるのに予防という言葉を使う意味がよくわかりません。
ご質問ありがとうございます。おっしゃる通り、頭ではわかっても、気持ちではすっきり理解できない言葉ですよね。
医学の中で、病気になったら治すという「治療医学」に対して、病気にならないように予防する「予防医学」があります。一次予防、二次予防、三次予防は、「予防医学」から出てきている言葉です。「予防医学」では、病気を予防するだけでなく、より広い意味で、疾病予防、障害予防、寿命の延長、身体的・精神的健康の増進を目的としています。病気を未然に防ぐだけではなく、病気の進展を遅らせること、再発を防止することも予防であるとされています。それに基づいて分類されている、一次予防、二次予防、三次予防は、次の表の通りです。
第一次予防
健康増進 疾病予防 特殊予防 | 生活習慣の改善、生活環境の改善、健康教育による健康増進を図り、 予防接種による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防すること |
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第二次予防
早期発見 早期対処 適切な医療と合併症対策 | 発生した疾病や障害を検診などにより早期に発見し、 早期に治療や保健指導などの対策を行ない、 疾病や傷害の重症化を予防すること |
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第三次予防
リハビリテーション | 治療の過程において保健指導やリハビリテーション等による機能回復を図るなど、 社会復帰を支援し、再発を予防すること |
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″予防とは、前もって悪い事態にならないように防ぐこと″ということを頭において、それぞれの分類を見ていくと、言葉の意味が理解しやすくなるのではないでしょうか?
それでは、実際に過去の国家試験問題を解いてみましょう。
問題
第101回 看護師国家試験 午前問題37
一次予防はどれか。
1.労働者のがん検診
2.精神障害者の作業療法
3.脳卒中患者の理学療法
4.性感染症予防のためのコンドームの使用
1.× 早期発見・早期治療により病気を防ぐ、二次予防である。
2.× 症状の進行を防ぎ、機能回復を目指す、三次予防である。
3.× 症状の進行を防ぎ、機能回復を目指す、三次予防である。
4.○ 病気の発生を未然に防ぐ、一次予防である。
2.× 症状の進行を防ぎ、機能回復を目指す、三次予防である。
3.× 症状の進行を防ぎ、機能回復を目指す、三次予防である。
4.○ 病気の発生を未然に防ぐ、一次予防である。
正解は… 4
編集部より
耳慣れない言葉、イメージと違う言葉・・・。理解するのは苦労しますね。けれども、用語を記憶するだけでなく言葉の意味を理解すると、「自分が動く時に(考える・行動する)力を発揮できる」と思います。まず「第一に」病気は未然に防ぐ。「第二に」初期段階で見つけて、対処する。「第三に」かかってしまった病気の進行をくいとめ、回復をめざす。 よく考えると当たり前のことですね。暗記ではなく、意味を考えましょう。