今回頂いた質問

透析患者の採血はどうして非シャント肢の末梢からするのですか?

感染、圧迫、出血、閉塞を予防するため、透析患者の採血は非シャント側で行うのが原則です。

駆血帯をしばった時、シャントの血液は止まっているか、または弱くなっています。
このように、シャントに負担をかけると、シャントの寿命が早まる可能性が高くなります。

採血だけでなく、血圧測定も同様の理由で、非シャント側で行うのが原則です。
それらは「シャントを長持ちさせる」ことにつながります。

透析療法

血液透析

血液を体外に導いて循環させ、半透膜の人工透析膜を介して、直接血中から溶質と水を除去する。慢性腎不全に対する維持血液透析は、通常1回4~5時間、週に2~3回施行される。透析効率、低分子の溶質除去は腹膜透析より優れている。

腹膜透析

生体内で半透膜の性質を有する腹膜を透析膜として利用する。腹腔内に注入した透析液と腹膜内に分布する毛細血管内の血液との間に生じる溶質濃度勾配、および浸透圧較差によって溶質と水を生体内より除去する。間欠的腹膜透析(IPD)と持続的携行式腹膜透析(CAPD)がある。

それでは、透析に関する国家試験問題を実際に解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午前問題56

血液透析の導入期の看護で適切なのはどれか。
1.飲水は制限しない。
2.不均衡症候群に注意する。
3.透析実施中の歩行を促す。
4.血圧はシャント肢で測定する。

1.× 尿量に応じて飲水制限を行う。 
2. 不均衡症候群は、1回の透析で急に尿素窒素を下降させた時によく生じるもので、頭痛・嘔気・嘔吐・けいれん・意識障害・血圧低下などが起こる。
3.× 血液透析中の歩行は、接続部がはずれたり、出血や液漏れなどの危険があるため、控えるように指導する。
4.× 感染、圧迫、出血、閉塞を予防するため、血圧測定は非シャント肢で行う。

正解は… 2

編集部より

透析患者は、様々な面において自己管理が重要となってきます。看護師はその指導を行う機会も多いので、しっかりと把握をして下さいね。透析導入前から自己管理ができるようになるまでの一般的な病態・看護などを学習すると、理解が深まると思います。