今回頂いた質問
学校の授業で「伴性潜性遺伝」について学びました。
父親と母親の遺伝子によって子どもに与える影響について、いくつかのパターンを挙げて教えてください。
ご質問ありがとうございます。
1.伴性潜性遺伝とは
ヒトの性別は、1対の性染色体の組み合わせによって「男性(XY)」「女性(XX)」に分かれます。
伴性潜性遺伝<X連鎖潜性遺伝病>とは、X性染色体にある遺伝子が変異した遺伝形式のことです。
代表的な疾患に、血友病A・B、ディシェンヌ型筋ジストロフィーなどがあります。
母親が2本もっているX染色体のどちらかに変異した遺伝子があると、それを受け継いだ男性が発症し、女性はキャリア〈保因者〉※になります。
キャリアとは、発病はしないけれど、異常な遺伝子をもつ者のことをさします。女性はX染色体を2本持っているため、一方のX染色体に変異があっても、もう一方のX染色体がカバーし、伴性潜性遺伝の可能性は低いのです。とはいえ、伴性潜性遺伝の女性患者はゼロではありません。
2.性染色体の組み合わせ
伴性潜性遺伝のポイントは、「1対の性染色体のうち、両方に異常がある場合のみ発病する」という点です。
ここでは、正常なX染色体を「X」、異常なX染色体を「x」として解説します。
父親が患者、母親が正常の場合
父親の性染色体は「xY」、母親の性染色体は「XX」となります。
この両親から生まれる子どもは、「XY(男性:正常)」「Xx(女性:キャリア)」となります。
父親が患者、母親がキャリアの場合
父親は「xY」、母親は「Xx」となります。
この両親から生まれる子どもは「XY(男性:正常)」「xY(男性:発病)」「Xx(キャリア)」「xx(女性:発病)」となります。
父親が正常、母親がキャリアの場合
父親は「XY」、母親は「Xx」となります。
この両親から生まれる子どもは、「XY(男性:正常)」「xY(男性:発病)」「XX(女性:正常)」「Xx(女性:キャリア)」となります。
父親が正常、母親が患者の場合
父親は「XY」、母親は「xx」となります。
この両親から生まれた子どもは、「xY(男性:発病)」「Xx(女性:キャリア)」となります。
注意:伴性潜性遺伝<X連鎖潜性遺伝病>は、以前、「伴性劣性遺伝病<X連鎖劣性遺伝病>」といわれていました。過去問では「伴性劣性遺伝病」と明記されていることがありますが、現在は使用しませんので、注意しましょう。
以上が質問の回答です。
では、「伴性潜性遺伝」に関する国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第100回 看護師国家試験 午前問題5 改変
伴性潜性遺伝病<X連鎖潜性遺伝病>はどれか。
1.血友病
2.ダウン症候群
3.先天性風疹症候群
4.フェニルケトン尿症
1.○ 血友病は伴性潜性劣性遺伝の代表的な疾患のひとつである。
2.× 常染色体の21番目が3本あることにより生じる先天性異常である。
3.× 妊娠初期の女性が風疹ウイルスに感染することによって生じる先天性異常である。
4.× 常染色体性劣性遺伝により生じる遺伝子病である。
●母性看護学について理解を深めるには、科目別強化トレーニング
編集部より
遺伝子病や染色体異常をもつ患者やその家族にとって、看護による精神的支援はとても重要な役割を果たします。残念なことに「看護師からの言葉に差別や偏見を感じ、かえって心に深い傷を負った」という声も決して少なくありません。「病気への正しい知識と理解をもつこと」はもちろんですが、その上で「患者や家族の心理的プロセスに寄り添って前向きな気持ちで病気と向き合えるよう見守ること」が大切です。
