今回頂いた質問

将来的に専門看護師と認定看護師のどちらかを目指そうと思い調べていたのですが、違いがよくわかりません…。

日本看護協会では、国民への質の高い医療の提供を目的に、資格認定制度を運営しています。資格は「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」の3つ。それぞれの認定と5年ごとの認定更新を行っています。

専門看護師、認定看護師、認定看護管理者

専門看護師と認定看護師

わかりにくいのが、専門看護師と認定看護師の違いです。どちらにも共通しているのは、5年以上の実務経験(うち3年以上の認定分野での看護経験を含む)が必要なこと。教育機関や役割、専門分野はそれぞれ異なります。

専門看護師

・5年以上の実務経験(うち3年以上の認定分野での看護経験を含む)が必要。
日本看護系大学協議会指定の大学院で学ぶ。
・直接的な看護に加えて、広範囲な人々のコーディネートを行う。
・教育や研究など看護を学問としてとらえる
・総数1,466人(2015年4月1日現在)

専門看護師の6つの役割

実践:個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。
相談:看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。
調整:必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。
倫理調整:個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。
教育:看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。
研究:専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。

専門看護師の11の専門分野

1がん看護 2精神看護 3地域看護 4老人看護 5小児看護
6母性看護 7慢性疾患看護 8急性・重症患者看護
9感染症看護 10家族支援 11在宅看護

認定看護師

・5年以上の実務経験(うち3年以上の認定分野での看護経験を含む)が必要。
日本看護協会指定の教育機関で学ぶ。
・臨床の現場で実践力を発揮する特定の分野においての専門家。
・専門看護師よりも看護分野がより細かく分かれている。
・総数15,935人(2015年7月1日現在)

認定看護師の3つの役割

実践:個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。
指導:看護実践を通して看護職に対し指導を行う。
相談:看護職に対しコンサルテーションを行う。

認定看護師の21の認定看護分野

1救急看護 2皮膚・排泄ケア 3集中ケア 4緩和ケア
5がん化学療法看護 6がん性疼痛看護 7訪問看護
8感染管理 9糖尿病看護 10不妊症看護
11新生児集中ケア 12透析看護 13手術看護 14乳がん看護
15摂食・嚥下障害看護 16小児救急看護 17認知症看護
18脳卒中リハビリテーション看護 19がん放射線療法看護
20慢性呼吸器疾患看護 21慢性心不全看護

※参考サイト:日本看護協会
http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/
それぞれの特徴と役割をつかむことが大切ですね。

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第103回 看護師国家試験 追加試験 午後46

褥瘡ケアを専門にしている看護師が入院患者の褥瘡ケアについて相談に応じる役割はどれか。
1. コーチング
2. モデリング
3. マネジメント
4. コンサルテーション

1.× コーチングとは、患者と双方向のコミュニケーションをとることによって、患者のモチベーションを引き出し、治療に前向きに取り組むよう支援することである。
2.× モデリングとは、治療者の行動を学習者が真似することで、その動作を覚えてもらうことである。
3.× マネジメントとは、看護サービスを効率的に提供できるよう、患者の状況や治療を把握し管理することである。
4.○ 褥瘡ケアを専門にしている看護師として考えられるのは、皮膚・排泄ケアの認定看護師である。認定看護師の役割は「実践」「指導」「相談」の3つであり、選択肢4が正解となる。

正解…4

●「基礎看護学」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「基礎看護学」

編集部より

学問的な視野をあわせもって看護をする専門看護師と、臨床分野のプロフェッショナルである認定看護師。どちらも資格を得るためには、さらなる勉強が必要になります。自分が将来どんな看護師になりたいかじっくり考えてみてはいかがでしょうか。