今年度の国試対策は、科目ごとの攻略のポイントをお伝えしつつ、前回第115回で出題された問題の中から、「これは絶対に正解しておきたい」と思う問題を紹介していきたいと思います。
 


「老年看護学」は、一般問題だけでなく状況設定問題でも出題がありますし、機能評価や高齢者にまつわる社会保障制度についての理解も必要です。過去問を使いながら、傾向をしっかり押さえておくことが、最も重要な対策といえるでしょう。

老年看護学の攻略ポイント

1)高齢者の社会保障制度に関する詳細な問題に注意!
2)カタカナ用語をチェックしよう!
3)認知症に関する知識を整理しておこう!

1)高齢者の社会保障制度に関する詳細な問題に注意! について

必修問題では法律の概要が出題され、一般問題では法律の詳細について問われる傾向にあります。
具体的には、高齢者の医療の確保に関する法律〈高齢者医療確保法〉、介護保険制度、成年後見制度、日常生活自立支援事業、地域包括ケアシステムなどについて、しっかり押さえておきましょう。

なお、こういった問題は、どのポイントが狙われるのかの予想が難しいです。出題基準に明示されている法律を一通り過去問に取り組むこと、その際に周辺知識まで深掘りしておくことが必要でしょう。

 

2)カタカナ用語をチェックしよう! について

前回の第115回では老年看護学に限らず、多科目でカタカナ用語が出題されました。
老年看護学にはなぜかカタカナ用語が多くあり、出題される機会も多いです。用語の意味を覚えるだけでなく、似た概念との違いや、評価方法・看護との関連まで整理しておくと、得点につながりやすくなります。

具体的には……
・フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームは、それぞれの違いを押さえ、特にフレイルについては、さらに詳しく勉強しておくことをお勧めします。
・権利擁護関連の用語として、スティグマ、エイジズム、アドボカシー(アドボケイト)、エンパワメントなどもありますね。
・評価尺度として、カッツ・インデックスやバーセル・インデックスなどもあります。
国家試験本番で緊張してど忘れしてしまった、なんてことがないようにしておきたいものです。

 

3)認知症に関する知識を整理しておこう! について

認知症に関する問題は、患者数が最も多いアルツハイマー型認知症に重点を置きがちですが、レビー小体型、前頭側頭型、脳血管性も数年ごとに出題されていますし、コミュニケーション方法なども出題されやすいポイントです。

まずは代表的な認知症についてそれぞれの好発年齢、障害部位、特徴、経過などを押さえましょう。
次に、認知症の検査(長谷川式認知症スケール〔HDS-R〕、ミニメンタルステートテスト〔MMSE〕)の評価方法、認知機能障害(中核症状)、行動・心理症状、それらに対応する看護を押さえます。

そして、各認知症の過去問に挑戦しつつ、どういった点が狙われやすいのかという点を理解すると、さまざまな角度から出題されても、正答につなげやすくなります。

 
では、今回のまとめとして、【絶対に得点しておきたい115回看護師国試問題】として「老年看護学」の問題を見ておきましょう。

第115回 PM57
加齢による「もの忘れ」はどれか。
 1.昨晩、夕食を食べたことを覚えていない。
 2.家族から電話がかかってきたことを忘れてしまった。
 3.友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。
 4.買い物に出たが、自分が今どこにいるのか分からない。
正解/3

加齢による「もの忘れ」や認知症初期症状が現れるのは、一般には60代後半からと言われます。
一方、認知症は、認知機能の低下によって日常生活や社会生活に支障が生じる状態です。両者の違いを理解しておきましょう。
また、軽度認知障害〈MCI〉は、認知機能が正常な状態と認知症の中間に位置し、正常な状態に戻ることもあります。
そのため、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いを理解し、必要に応じて早期に適切な診断につなげることが大切です。

では、選択肢毎に確認していきましょう。
1.昨晩、夕食を食べたことを覚えていない。
→× 加齢によるもの忘れでは、体験の一部を忘れることが多いのに対し、認知症では、体験したこと自体を忘れる傾向にあります。つまり、もの忘れの場合は「夕食のメニュー」を忘れ、認知症の場合は「夕食を食べたこと自体」を忘れる、というようになります。
2.家族から電話がかかってきたことを忘れてしまった。
→× 上記1で説明したとおり、その出来事自体忘れているので、認知症の症状でしょう。
3.友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。
→○ 顔を見て、その友人のこと自体は認識できているけれど、「名前を思い出すのに時間がかかった」ので、もの忘れといえるでしょう。認知症の場合、進行度にもよりますが、顔を見ても、その人が友人や家族だということさえも忘れてしまうことがあります。
4.買い物に出たが、自分が今どこにいるのか分からない。
→× いわゆる「見当識障害」といわれる認知症の初期段階からみられる症状のひとつです。もの忘れの場合、見当識障害はあらわれません。買い物に行って、卵を買ってくるつもりだったのに、他の物を買っているうちに卵を忘れてしまった、というようなことはあり得ます。

上記、選択肢の解説内では解法としてわかりやすく説明しましたが、これらはあくまでも症状の特徴の一例です。
実際の高齢患者様の応対においては、もの忘れの内容だけで判断するのではなく、認知機能の変化や日常生活への影響なども含めて考えることが大切です。
 

ぜひとも、これらの3ポイントを押さえて、老年看護学をあなたの得点源にしていってください!

 
次回は、小児看護学について説明します!


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