今回頂いた質問

食中毒の原因にはどのようなものがありますか?
教えてください。

ご質問ありがとうございます。

食中毒の原因について、整理しておきましょう。

細菌性感染型サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター
ウェルシュ菌、病原性大腸菌
毒素型黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌
ウイルスノロウイルスなど
自然毒性動物性(ふぐ、貝類など)、植物性(毒キノコ、ジャガイモの芽など)
化学性化学物質、食品添加物、農薬など

では、食中毒について問われた国家試験の過去問題を解いてみましょう。

問題

第101回 看護師国家試験 午前問題82

食中毒について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 腸炎ビブリオ感染症の原因となる主な食品は食肉である。
2. 黄色ブドウ球菌感染症の予防に食前の加熱は有効である。
3. ボツリヌス菌感染症では呼吸筋麻痺を生じる。
4. 毒素性大腸菌感染症の潜伏期は数時間である。
5 .ノロウイルス感染症は冬に多くみられる。

1.× 腸炎ビブリオ感染症の原因となる主な食品は、生の魚介類である。
2.× 黄色ブドウ球菌の毒素は熱に強く、100℃で30分間加熱しても分解されることはない。
3.○ ボツリヌス菌による疾患は、ボツリヌス食中毒と、1歳未満のでみられる乳児ボツリヌス症等に分 けられる。ボツリヌス食中毒では、吐き気、嘔吐や視力障害、言語障害、嚥下困難などの神経症状が現れ、重症例では呼吸麻痺によって死に至る。また、乳児ボツリヌス症も、哺乳力低下、 泣き声が小さくなる等、筋肉の弛緩による麻痺症状が特徴である。
4.× 毒素原性大腸菌の感染から発症までの潜伏期間は、通常、12~72時間である。
5.○ ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に生息しており、特に、感染経路として強く指摘されているのが生カキである。そのため、ノロウイルスによる食中毒は、生カキの摂食量が増える冬期に多く 発生している。

正解は… 3・5

編集部より

冬に発生しやすい食中毒のほとんどは、ノロウイルスと呼ばれるものです。ノロウイルスは、11~3月頃に旬を迎えるカキ(二枚貝)などに多く生息し、嘔吐・下痢・発熱などの症状を引き起こします。また、感染した人の便や嘔吐物からも感染を起こすため、受験を控えている人は特に注意が必要です。