退院調整が苦手なのはコミュニケーション不足が原因?
またまた半泣きでSOSのメールを送信してみると……。

メール

差出人
hannaki♡ikyo.jp
件名

退院調整で悩んでいます…。

宛先
anego♡ikyo.jp
この前は、看護サマリーについて
いろいろ教えてくださりどうもありがとうございました。
おかげで、なんとか無事に書き終えました。
転院の日はちょうど日勤だったので、
患者さんを出口まで見送ったのですが、
実は私、結局ご家族の方には、
退院日もプライマリーナースとして認識されていませんでした。
退院に関わることを聞くのって、
家族のこととかプライバシーに関わることも多くて、
あんまり質問するのも失礼な気がするし、
でも今回みたいに信頼関係が築けていないのはいけないと思うし。
退院調整って難しいです…。

メール

件名

Re:退院調整で悩んでいます…。

半泣きちゃん、メールありがとう。
実は、私も1年目の時、退院調整が大嫌いでした。
今思うと、院外も含めた他職種の人と関わることに緊張したり、
うまくコミュニケーションをとらなかったりしたからかなと思います。
でも今は、退院調整は看護師の業務の中でもやりがいがある仕事だと、
自信を持って言えます。
経験値が大事、とも言われるけれど基本は大切。
大まかな流れを頭に入れてね。
第一段階は、患者さんの入院直後に行われるアセスメント。
ここで、患者さんを取り巻く状況を把握します。
主な情報源は、患者さんや家族だけど、
内服薬の管理の仕方、皮膚の状態など些細な情報もとても大切。
感性のアンテナをピンとはりめぐらして。
第二段階は、退院に向けたサポートのスタート。
退院が決まってから支援を開始するのではなく、
アセスメントを継続的に行っていき、
患者さんやご家族が病状や治療に対してどのように理解しているのか、
入院生活・退院後の生活についてどのように考えているのかを確認します。
ここでのキーワードは「信頼関係」。

受け持ちでなくても、勤務日に声をかけているうちに、
患者さんやご家族から様々な思いを聞き出せるようになることも。
第三段階は、地域における支援サービスの調整や
転院準備、在宅で必要な医療や介護に対する指導。

制度や支援によって環境を整備することで、
退院がスムーズにできるように援助します。
前回のメールで書いた看護サマリーを記載したり、
訪問看護師やケアマネージャーなどと合同カンファレンスを開催したりすることも。
もちろん自分だけでなく、先輩達に相談し、
アドバイスをもらいながら乗り切っていきましょう。
今回は退院調整に視点をしぼったけれど、
プライマリーナースとして関わるなかで、
「看護師さん」から「○○さん」と呼ばれ方が変わったとき、
退院した後に元気に在宅で過ごしていると外来通院の合間に顔を見せてもらえたとき、
ご家族から頼りにされたとき、本当に頑張ってよかったと思います。
まずは、笑顔で患者さんやご家族に挨拶することからスタート!
第8回 ○○さんと呼ばれたい。の巻

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)