看護学生には看護学生ならではの悩みがあるんです。勉強や実習、国試…考えるだけで不安がいっぱい。
でもなんとかこの状況を脱したい!つまずきがちなテーマを一緒に考えていきましょう。


何もできなかったような気がする在宅実習

看護学生wさん

看護学生 Mさん
看護師になりたいという夢をかなえるために実習で奮闘の毎日。

在宅看護の実習はあちこちにお出かけしているみたいで楽しかったです(笑)。けどびっくりしたのは、病院で習った清潔・不潔よりだいぶアバウトなこと。かと思うと、ご家族に話す時、何かを指導する時には病院以上に、気をつかってとても繊細だったりして、指導者の訪問看護師の方とご家族のあ・うんの呼吸のようなやりとりが新鮮でした。なんだかあっという間に終わってしまって、何もできなかったような気がします。

これで解決!

半泣きあらため美咲さん

半泣き あらため 美咲さん
今年3年目を迎える看護師。学生時代を懐かしく思い出しながら、相談に来る学生にアドバイスを送る。

在宅看護学実習は、「楽しかった」と感じる学生の多い実習のひとつだと思います。
理由はいくつかあると思います。

在宅看護学実習が楽しい理由その1

地域包括支援センター、訪問看護ステーションなど臨地実習の場も複数になることが多く、本音では、「見学する場面が多いから自分自身への負担が少ないかも!」ということもあると思います。訪問看護ステーションにおいて、看護過程を展開しても実際に援助できる回数も少ないため紙面上での展開、一部実施のケースもあるかもしれません。
ただ、ここに関しては、だからこそ「どこまで学ぶことができるかは自分自身だよ!」と伝えたいといつも考えています。卒業後病院に就職される方も多いと思いますが、実習以降在宅療養の場を見たことがないスタッフはたくさんいます。一方で退院支援が強調される現在、ケアマネジャーや訪問看護師など様々な職種の人と関わる必要があります。その際に学生時代に培われた在宅看護の視点は大変役立ちます。介護保険の実際の使われ方を見ることができるのも在宅実習の醍醐味ですよね。

在宅看護学実習が楽しい理由その2

「患者(利用者)主体の看護」を生き生きと行っている現場を見て看護のやりがいを感じるケースも多いと思います。今回のような、衝撃は実際に目にしたからこそ感じることができるもの。在宅看護学実習では、“臨機応変”という言葉がまさしくぴったりな臨床場面によく遭遇します。
物品の工夫は、訪問看護師のアイデアからつくられる場合もありますが実際に介護を行う家族の発案もたくさんあります。
●バスタオルをUの字に丸めてポリ袋をかぶせてつくるケリーパット
●しょうゆなどを入れる容器を利用した陰部洗浄ボトル

物品の清潔・不潔に関しても、経済的効率と感染予防の二つの視点で考えて、容器の再利用なども行います。
●赤ちゃん用の哺乳瓶の滅菌器具を使用して経管栄養の器具の消毒

アセスメントも限られた情報の中からいかに引き出すか。褥瘡の予防でアセスメントする場合、病院にいればアルブミンなどの検査データも見てアセスメントをすることができますが、在宅では必要時往診の医師が行う程度。
●眼球結膜の色からHbの値を推測・皮膚の浮腫の程度・食事摂取量の変化などから推測

家族との関係もとても大切!

在宅は病院と違って24時間、患者さんを私たちが見ていることはできません。実際に看護するのは家族といっても過言ではないと思います。看護師が前回の訪問時との顔色や調子の違いから気づくこともありますが、「ここ1週間部屋でご飯を食べることが多くて」などの家族の何気ない言葉から、心不全の徴候に気付くこともあります。そして、訪問看護師もそれをわかっているからこそ、普段ケアをしている家族の体調にも気遣い、家族がどのようなことに不安を感じストレスをためているのか傾聴しています。そんな、あ・うんの空間において看護学生として「何もできなかった」「自分が主体で出来ることが少なかった」「何をしたらよかったんだろう」なんて、自信をなくす必要はありません。在宅看護はそういうものだと気が付いただけでも上等ですよ。

それにしても、私が今でも思い出すのは、訪問に行く途中に指導者さんから、「どうして訪問看護師になったのか」「看護をする上で何を大切にしているのか」など話を聞いたことです。楽しかったです。普段の病棟実習では慌ただしくしていて指導者さんの看護観に触れる機会は少ないかったですから。
ということは、やっぱり私も在宅看護学実習は楽しかった! ということですね(^_-)

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)