立っていないようで、実は立っている!?

見えざる鳥肌、信じるかどうかはアナタ次第……

本格的な冬が近づくにつれ、めっきり寒くなりましたね。
学校や実習先に通う受験生のみなさん、防寒対策はしっかり行っていますか?

とある看護大学の学生さんたちの服装を見ていると、ショートパンツやミニスカートなどが相変わらず人気のようですが、こんな季節に、ショートパンツやミニスカートって、本人が平気でも、見ているこっちが鳥肌立つわ!
あ~想像しただけで鳥肌が立ってきた(ガクガクブルブル)。

そんなわけで、わたしは常々、老婆心ながら「ズボン履きなさい! ズボン!」と心の中で叫んでいるのでありますよ。
むろん、彼女たちには届いていないでしょうがね~(汗)。


なぜ人間の身体には鳥肌が立つのでしょう?

私たちの肌には、体毛とよばれる毛が生えています。
その毛1本1本には、立毛筋という筋肉(交感神経支配)があります。

私たちの身体は、寒さ(寒冷刺激)を感じると、交感神経が興奮し、立毛筋を収縮させて毛穴を閉じることで身体の熱を外に逃がさないように(体温が下がらないように)します(体温調節のメカニズムは国試頻出! 要チェックですよ~)。

この時、毛根は皮膚に対して垂直方向に立ち、毛穴の周囲が盛り上がることから皮膚がブツブツとしているように見えるのですが、この様子が、羽毛をむしった鳥の肌に似ていることから「鳥肌が立つ」と表現されるのです!
(確かに鶏肉の皮に似ている……)

ちなみに、強い恐怖を感じる時の表現として「身の毛もよだつ」という言葉がありますよね。
これもまた、恐怖(感情刺激)によって交感神経が興奮し、立毛筋が収縮して全身の毛が逆立つ(鳥肌が立つ)様子を示しています。

恐怖に対する立毛筋の反応は、猫や鳥などの小動物にもみられますが、これは、毛を逆立てることで身体を大きく見せ、敵を威嚇することで外敵から身を守るためなんだとか。
つまり、寒い時に立つ鳥肌も、恐怖を感じた時に立つ鳥肌も、外部の刺激から身を守るための防御反応、というわけですね!

鳥肌

ちなみに、顔には鳥肌が立ちませんよね……!?

いやいや、顔にも少なからず立毛筋は存在しているので、顔にも鳥肌が立っているんですよ、解剖学的にはね。
ただし、顔はもともと血行が良く、寒さに強い部位なので、サルから人間に進化する過程で、顔のほとんどの体毛が退化しており、その影響で立毛筋も退化しているといわれています。

そのため、実際には顔にも鳥肌が立っているけれど、かなり目立たない状態(ほとんどの人が気づかない)というのが正解!


ここからは余談ですが、鳥肌は英語で「goose bumps」または「goose pimples」と表現するんだそうですよ。

この「goose」は、マザーグースの「グース(goose)」。
鳥は鳥でも「ガチョウ」という意味です。

海外での旅行先や外国人との会話で「Bird skin(バード・スキン)」とか「chicken skin(チキン・スキン)」なーんて言っても通じないのでご注意を(笑)!

鳥肌イメージ

(文:真ノ宮ゆな/イラスト:matya)