今後、ますます重要視されてくるチーム医療。
コメディカルの分野で働くプロに、看護師とどのように関わって仕事をしているかを伺いました。

今回ご登場いただいたのは、臨床検査技師として働くYさんです。病院内での臨床検査技師のお仕事、看護師との連携などについてお話を伺いました。

【臨床検査技師】
1)医師の臨床検査オーダーを基に、患者さんの検体検査(血液、尿など)、生理学的検査(心電図、脳波測定など)をおこない、データを作成する。
2)臨床検査技師養成課程を持つ大学・短大・専門学校等で学び、国家資格を取得する。
3)検査設備のある病院、臨床検査専門の検査センター、人間ドックや定期健康診断などで大きな役割を果たしつつ、地方自治体、大学病院、衛生研究所、製薬会社などにも活躍の場が広がっている。

【Yさんプロフィール】
大学進学時、国公立医学部合格を目指して受験するも、私大医学部のみ合格。家庭の事情から私大は難しく、念のため受験した臨床検査技師の大学に進学し、国試合格。臨床検査技師として脳外科・循環器科・消化器科・神経内科・泌尿器科、透析科などがある、病床数60床(透析80ベッド)の病院で働く。病院からの勧めもあり、看護師免許も取得。現在は、内科、整形外科などの診療科を持つクリニックに勤務し、ときには看護師として、ときには臨床検査技師として、患者さまや院内の混雑状況にあわせ、フレキシブルに活躍している。


<part1>細分化が進む検査技師の世界

臨床検査技師のお仕事は、機械化が進んでいると伺いますが、いかがでしょうか。

一昔前だと、幅広く浅くさまざまな検査ができることを求められていましたので、一人の臨床検査技師が、検体検査はもちろん、生理学的検査もおこなえました。今は、機械化が進んだこともあって細分化されています。例えば、エコー専門の技師にしても、エコー検査全般を担当するのではなく、心臓を専門とするエコー技師、腹部を専門とするエコー技師がいる時代です。

そこまで専門性を極めるには、当然、勉強も必要なんですよね?

ええ。その機器について学び、基本的なメンテナンスも自らおこなう場合も多いです。また、学会や勉強会に参加し、自分が担当する検査方法だけでなく、担当に関連のある疾患についても深い知識を身につけなければなりません。看護師さんと同じで、学校で学んだことは臨床のほんの一部でしかないので、臨床に出てから経験を積みつつ、自分の知識をアップデートし、各専門の資格を取得していく必要がありますね。

想像していた以上に、奥深い世界なんですね。

機器の使い方にしても、どんどん進化しているので、一昔前とは変わってきていますよね。

例えば?

昔なら、エコーを撮ってからCTでより詳しく、というのが一般的でした。今は、CTを撮って、より詳しく見るためにエコーを活用する、という流れになってきました。
そうなると、エコーを専門とする検査技師は、どの部位にどういう病変が起こりやすいのか、その病変はどう表示されるのか、ということをしっかりと理解しておかなければ、仕事になりません。

なるほど、当然そうなりますよね。だから、より専門的になっているのですね。

ええ。しかし、その弊害も出ています。例えばある程度の中規模以上の病院ならば、CT専門の検査技師がいると思います。その技師は、診療開始後から診療終わりまで、1時間おきに入っているオーダーにひたすら対応する、ということになるのです。

一日中CTですか…。

ええ。また、担当する技師たちは、病変を見つけることもありますが、それについて患者さまに話してはいけないので、コミュニケーションが希薄ですよね。電子カルテの普及で、看護師さんやその他の医療スタッフとも、コミュニケーションを取る機会が減っているのではないでしょうか。

カルテイメージ
(写真はイメージです)