今後、ますます重要視されてくるチーム医療。
コメディカルの分野で働くプロに、看護師とどのように関わって仕事をしているかを伺いました。

今回は、障害者支援施設で働く深澤徹央さんに、看護師との関わりや介護福祉士というお仕事について伺いました。チーム医療が重要視されてはいますが、現場の状況はまだまだ厳しそうです…。

【介護福祉士】
1)介護福祉系資格の中で唯一の国家資格。根拠法は、社会福祉士及び介護福祉士法。
2)介護福祉士の業務は、食事、移動、入浴、排泄など「日常生活全般」の介助が中心。
3)老人福祉施設、障害者施設、児童福祉施設、訪問介護サービス事業者などが主な就職先。現場で働く介護職のなかで、リーダーとしてより専門的な能力が求められる。

【深澤徹央さんプロフィール】
この道に進んだきっかけは、障害をもつ親戚からの「これからは福祉の時代だ」との言葉。別業種から2年制の専門学校に進学して介護福祉士の資格を取得後、神奈川県の障害者支援施設で介護福祉士・生活支援員として働く。今年で10年目を迎える中堅。


<part1>患者ではなく「居住者」。

施設に住んでいる方はどのようにお呼びしているのですか。患者さんですか。

いえ、居住者と呼んでいます。生活の場なので、「居住者」という呼び方がいちばんリアルですね。男女がだいたい半々。障害の程度が重度、かつ高齢の方が多いです。職員もだいたい男女半々ですが女性が少ない現状があります。

施設での深澤さんのお仕事内容を教えてください。

医療を含めた衣食住、生活のすべてのサポートをします。早番勤務は7時から。夜勤勤務者と共に起床の介助を行い、着替え、排泄物の交換をして朝食です。食事は8時、12時、18時と決まっています。男性職員は早番、日勤、遅番、夜勤の4交替制です。

食事の介助はどのようにされていますか。

食事介助の前に、むせがある方や、嚥下機能に障害をお持ちで飲み込みが難しい方のために二次的な調理を行います。普通食をミキサーにかけてツブツブがないようにしたり、刻み食や軟菜食を作ったりした後に、盛りつけと配膳をして食事介助です。介助にも、料理をよそえば食べられる方もいれば、自助具が必要な方もいて一人ひとり違います。噛んでしまう力が強い人のために柔らかいシリコン製のスプーンを使うということもします。

細かい工夫をされているのですね。食事以外のサポートについても教えていただけますか。

歯磨きなどの口腔ケア、服薬、排泄、お風呂、それから余暇として畑で作業したりもします。また、車椅子の方が多いので、体の拘縮と褥瘡予防のために「おしり休め」という静養の時間を設けています。夜勤時のラウンド(巡回)も大切な仕事です。休憩時間は決まっていますが、重度障害の居住者もいるので、ナースコールがあれば駆けつけます。

おしり休め! 確かに、居住者さんたちに必要かつ重要なケアですね。
ケアを看護師さんと一緒にすることはありますか。

一緒にやるというよりは、医師や看護師からの指示を受けて手技を習うということが多いです。例えば体に薬を塗るのも医療ケアですし、現場の人間が勝手にやっているわけではありません。また、同じ体勢にならないように褥瘡ケアとして体位変換をしたり、胃瘻の方に経管栄養を注入したりといったこともします。

手技を習って介護の現場に生かしているのですね。施設には、医師と看護師は常駐されていないのですか。

はい。同じ法人内に診療所はありますが、常駐はしていないんです。もちろん、24時間体制ですので、なにかあれば医師に連絡を取る手段はあるのですが。看護師は日中最低2人はいるので、医師がいない時は複数で体制をとってくれています。でも高齢の方が多いので、急変で亡くなる方もいらっしゃいました。

居住者の方のサポート以外にはどのようなことをされますか。

医師のカルテのように日々の記録をすることも業務のひとつです。傷ひとつから、転倒をしたとか、どのような介助をしたとか、相談内容などを医療面と生活面の両方から記します。身体状況が変わると介助の内容も変わるので、スケジュールも組み直します。一人の居住者の介助の変更が他の方の介助時間に影響を及ぼすこともあるためです。
お話を伺った深澤徹央さん
お話を伺った深澤徹央さん