<part2>「チーム」ではたらく醍醐味とは?

日々の業務のさまざまな場面で、看護師と協働されていらっしゃいますね。

ええ。看護師さんからは、毎日薬剤部に100回以上電話が掛かってきています(笑)。病院で働いていると、看護部と薬剤部は切っても切れないような関係だと思います。

チーム医療として看護師と協働される場面は、どんな時でしょうか。

私は、NST専門療法士の認定を受けているので、特にNST活動を行っていく際に看護師さんと密に連携を取っていくことが多いですね。
患者さんのことを一番理解しているのは、やはり患者さんのそばにいる看護師さんです。患者さんの背景や栄養アセスメントについて、特に看護師さんから情報を収集しています。

そういった時に、気をつけている点などはありますか。

できるだけ看護師さんの業務負担にならないように心掛けています。そして、お互いが気持ちよく業務を行えるように言葉遣いや気配りにも注意してコミュニケーションを取っています。

チーム医療で、印象深い患者さまのエピソードを、差支えない範囲で教えてください。

私が、NSTの事務局をしていた頃の話です。事務局として毎週のNST回診と褥瘡回診をチームでまわるのですが、アルブミン値が上昇し栄養状態が改善していたり、褥瘡の創部の色が良くなり、傷が少しでも小さくなっていっていたり……そういった症状の変化に看護師さんと一喜一憂していました。

職種は違えど、同じ結果で一緒に一喜一憂できるというのが「チーム」ですね!
離島にも赴任されていたということですが。

ええ。鹿児島県のとある離島に勤務していました。当時、褥瘡患者さんにマゴットセラピー(医療用ウジ治療のこと。ハエの幼虫を用いた創傷治療。)を導入しました。その時は、看護師さんと何度も何度も打ち合わせし、治療をおこないました。忘れることのできない症例です。

現代医療でも、そういった挑戦ができることが素晴らしいですね。
どちらの例も、やはりTさんと看護師さんとの綿密な打ち合わせや連携があってこそですね。

ええ。チーム医療では、看護師さんはもとより、医師やコメディカルスタッフと連携・協力して、お互いの専門性を尊重し対等な立場で意見を出し合い、患者さんのためにベストな治療を考え、おこなっていくことができるので、非常にやりがいを感じますね。

(写真はイメージです)

では、逆に、チーム医療において、大変なことはどんなことでしょうか。

チーム医療という働き方は非常にやりがいがある一方で、人間関係に悩むスタッフも少なくありません
私自身そうならないように笑顔を忘れず、何事に対しても前向きに物事を考えていくことを大切にしています。そして、患者さんやスタッフに対して、その相手の立場を理解するため、現場での状況を確認したり、話をじっくり聴きコミュニケーションを図ったりして、お互いの理解を深めていくことが大切だと思います。

Tさん自身は、「病院内の中間管理職的な立場」とおっしゃっていましたが。

そうですね。薬剤師と医師や看護師や事務・コメディカルスタッフなどと連携を取る架け橋になって、風通しのよい職場を目指しています。職員には、仕事の喜びや楽しみを見つけてあげ、やりがいを持たせてあげないといけないと思っています。

薬学部は在学年数が6年になりました。薬剤師は、今後の医療業界の中でも、重要な役割を担っていくと思います。

ええ。6年になって知識量もどんどん増えています。その知識を「積極的に」患者さんや医療者に伝えていくことによって、患者さんにとってより安心・安全で質の高い医療に貢献できると思います。
また、チーム医療の一員として高い専門性を発揮することによって、医師負担を軽減したり、病棟業務を充実させることによって、看護師負担を軽減していける役割を、もっともっと担っていけると思います。