<part2>看護師との協働は、不可欠!

看護師と協働するのは、どんな時でしょうか。

栄養管理計画を実行する時が多いですね。
管理栄養士は、直接的な医療行為はおこなえません。管理栄養士は、栄養管理計画を立てますが、実際におこなうのは看護師です。その計画を確実に実行するためにも、看護師との連携は重要
になってきます。
どれだけ緻密な計画を立てても、実際の現場で実行できなければ机上の空論となってしまいます。
そのため、栄養管理計画を立てる時も、その計画を実行するためにも、常に看護師との連携を考えています。

どんなポイントに注意して、看護師と連携をされていますか。

看護師の意見を尊重し、栄養管理計画を考えるようにしています。
繰り返しになりますが、どれだけ的確な管理計画を立てても、現場で実施できなければ意味がありません。特に静脈栄養や経腸栄養で言えることですが、注入する時間帯や回数などは患者さま個人によってかなり差があります。患者さまに良かれと思って注入回数を増やそうとしても、看護師の現場のシフトでどうしても難しい場合があります。
それでも、できる限り改善をしていくのが管理栄養士の仕事
なので、ある程度、譲歩する部分は譲歩して、看護師の意見を尊重し、少しずつでも現場の努力で改善できることはするようにしてもらっています。

印象に残っている患者さまとのエピソードがあれば、教えてください。

軽度の体重減少がみられた70代の患者さまの話です。高血圧で塩分制限食を提供していました。その他に特記すべき症例は、何もありません。ところが、軽度なのですが、明らかに体重が減少していました。調べたところ、病症的な原因も分からず、食事摂取量にも全く問題が見つかりません。

問題がないのに……? とても気になりますね。

看護師や医師と何度か相談し、患者さま本人にも食事に関する聞き取りもおこないました。それらからわかったことは、体調が少し悪いということだけで、根本的な原因にはたどり着きませんでした。
その後、数名の看護師から話を聞いていると、ある一人の看護師が、その患者さまが食事中に何度かトイレへ行くのを見かけた、という話を聞きました。
医療に貢献できるような管理栄養士に!
(写真はイメージです)

摂食障害でしょうか?

そう思いがちですよね。管理栄養士としては、もう少し詳細を調べてみてから、と。
その患者さまの担当看護師に相談し、患者さまが食事中にトイレへ行った日にちと昼・夕飯をできるだけ記入してもらうようにしました。すると、明らかに肉類がメインの献立の時だけトイレへ行っていることがわかりました。

お肉嫌い? でも、入院時に好き嫌いとか、確認しますよね。

おっしゃる通り、入院時に好き嫌いの有無やアレルギーなどを聞いているのですが、その患者さまは好き嫌いをすることは恥で、出されたものはできる限り食べなければいけないという考えをもっていたので、言わなかったとのことでした。
そして、実は昔から肉類が苦手で、口に入れると吐きそうになってしまうとのことで、毎回食べきれずに食事をトイレで吐いていたそうです。

70代とおっしゃっていたから、年代的なこともあるんですかね……。

その患者さまには、その後食事に対しての指導をし、肉類の日は違うタンパク源に変えました。その後、体重の減少はなくなり体調も改善しました。

こういうケースを見抜くのは、とても難しそうですし、時間もかかりますね。

ええ。難しい症例の患者さまではないのですが、病気以外の原因での体重減少などは、意外と改善するのが難しいです。最初は、原因も分からず本当に困りましたが、現場で常に患者さまと向き合っている看護師にアプローチすることで色々なことがわかり、栄養管理には看護師との協働が必要不可欠だと思い知りました。

観察の重要性は、患者さまの回復の第一歩と、看護では教わります。

そのようですね。同僚の看護師から、聞いたことがあります。
看護師は医療現場にとって、なくてはならない存在です。ドクター同様、最前線で命に向き合わなくてはならならず、そのプレッシャーもかなりのものだと思います。その分やりがいも多い仕事だと思うので、学生時代から勉強も大変だとは思いますが、くじけずに頑張ってください。

今日はありがとうございました!