今回頂いた質問

115回の必修問題で、自殺者の原因・動機に関する出題がありました。
問題以外にも、自殺に関して、国試対策として覚えておいたほうがいいことを教えてください。

ご質問ありがとうございます。
自殺に関する出題は、それまであまり見られなかったのですが、ここ数年毎年出題されるようになっています。
今回は、日本における自殺の動向とそれに関する法律について、説明していきます。

1.日本における自殺の動向

日本における自殺者数は、2万人前後で推移しており、令和6年(2024年)は、20,320人であった。
その内、男性は13,801人、女性は6,519人であり、男性の自殺者数は女性の2.1倍となっている。

・年齢階級別
70歳代が最も多く、次いで80歳以上、50歳代の順となっている。
一方で、10代の自殺者数は高止まりしており、小中高生の自殺者数は529人で過去最多を記録した。

・原因、動機
その原因・動機については、原因・動機が特定できた事例(19,164人)のうち、最も多かったのが、健康問題(66.7%)、次いで、家庭問題(24.8%)、経済・生活問題(19.5)となっている。とはいえ、原因は1つではなく、多様で複雑な背景や、複数の要因が絡み合っていると言われている。

 

2.自殺対策基本法

自殺を個人的な問題ではなく社会的な問題として捉え、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す法律である。
国、地方公共団体、医療機関などの関係機関に総合的な対策を義務付け、平成18年(2006年)に制定された。

(1)基本理念

・社会的な取り組み:
自殺は個人の問題ではなく、その背景にある様々な社会的要因を踏まえた「社会的な取り組み」として実施されるべきであるとしています。」としています。
・こどもの自殺対策:
こどもが健やかに成長し、その教育環境等に配慮した対策が強調されている。
・デジタル技術への対応:
インターネットやSNS上の情報が及ぼす影響に配慮し、情報通信技術を活用した対策の推進が規定されてる。

(2) 国・地方公共団体・関係者の責務

・国: 自殺対策の総合的な策定と実施
・地方公共団体: 地域の実情に応じた「都道府県自殺対策計画」などの策定と実施
・連携協力: 国、地方公共団体、医療機関、学校、民間団体などが相互に連携して対策に取り組むことが定められている。

 

3.自殺総合対策大網

自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものであり、おおむね5年を目途に見直すこととされている。
平成19年(2007年)6月に策定された後、その時々の背景に即した見直しが進められ、令和4年(2022年)10月、「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」が閣議決定された。

●見直し後の追加ポイント
・子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化
・女性に対する支援の強化
・地域自殺対策の取組強化
・新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進など
を追加し、総合的な自殺対策の更なる推進・強化を掲げています。

以上が質問の回答です。
では、「自殺の動向と関連法について」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第115回看護師国家試験 午前問題2

警察庁の「令和4年中における自殺の状況」の自殺者の原因・動機のうち最も多いのはどれか。

1. 家庭問題
2. 勤務問題
3. 健康問題
4. 経済・生活問題

正解…4
自殺の原因・動機が判明している中で、最も多かったのが、健康問題(66.7%)である。
次いで、家庭問題(24.8%)、経済・生活問題(19.5)となっているが、原因は1つではなく、多様で複雑な背景や、複数の要因が絡み合っていると言われている。

●「健康支援と社会保障制度」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「健康支援と社会保障制度」

編集部より

みなさんは「TALKの原則」をご存じでしょうか?「TALKの法則」とは、自殺ハイリスク者への対応について示したもので、「誠実な態度で話しかける(Tell)」「自殺についてはっきりと尋ねる(Ask)」「相手の訴えに傾聴する(Listen)」「安全を確保する(Keep)」という意味が含まれています。看護師は、自殺企図や自殺未遂などの患者と関わる機会が多く、医療従事者としてゲートキーパーの役割を担う責務があります。看護師としての基本姿勢のひとつとして、この機会にぜひ覚えておきましょう。