「忘れられた臓器」でも実はスゴイんです!

そもそも「五臓六腑」とは何ぞや?

みなさんは「五臓六腑」という言葉を聞いたことがありますか?
よく、お酒や食事の美味しさに感動した人が「五臓六腑にしみわたる」と口にしますよね。アレですよ、アレ。

実は、「五臓六腑」という言葉には中国伝統医学との深い関わりがあるのです。

五臓六腑


「五臓六腑」とは、中国伝統医学において”内臓全体”を示す言葉として用いられていました。

五つの「臓」
肝、心、脾、肺、腎

六つの「腑」
胃、小腸、大腸、胆、膀胱、三焦(一般にはリンパ系と解釈されているようです)

ここで「あれ? おかしいな」と気づいた方はするどい!
実は、人間の身体にある”アノ臓器”だけが、スッポリ抜けているのです。
解剖生理の知識をし~っかり身につけているあなたなら、すぐにわかりますよね?
忘れたなんて言わせませんよ~!(キッパリ)

その答えは「膵臓」です。
膵臓は胃の後方と脊椎の間にあり、細長い形状をしていることから、解剖しても臓器とは気づかれなかった(五臓六腑に含まれなかった)という説があります。

このようなエピソードから、膵臓は「忘れられた臓器」ともいわれていますが、看護師国家試験を控えたみなさんは、ぜ~ったいに忘れちゃいけませんっ!
なぜなら、膵臓には人間の身体を守るために必要な2つの重要な働きがあるのです!(しかも国家試験に頻出!)

1)消化酵素を分泌する

・でんぷんを分解するアミラーゼ
・たんぱく質を分解するトリプシン
・脂肪を分解するリパーゼ

2)血糖調節に関わるホルモンを分泌する

・血糖を上げるグルカゴン
・血糖を下げるインスリン

余談ですが、古代ギリシャでは
膵臓は”胃のクッションとなる肉の塊”と考えられ
「パンクレアス(pancreas)」と呼ばれていたようです。
※panは「すべて」、creasは「肉」という意味

また、日本では「膵臓」と書きますが中国では「月」に「夷(えびす)」という字を当てているのだとか。
※「夷」は「見慣れないもの」という意味

膵臓

そういえば、膵臓がんの初期では症状が全く出ないので早期発見が難しいんですよね。
そう考えると、膵臓はある意味「忘れられがちな臓器」 ってことなんでしょうかね・・・(汗)

(イラスト:matya)