新年度開始から、早1か月が過ぎようとしています。最高学年のみなさんは、領域実習などで慌ただしい毎日ではないでしょうか。臨地実習は看護学生にとって、最大の学びの場です。ぜひ、いろいろなことを経験し、学んでいってほしいと思います。
この「医教の国試対策勉強法」では、第114回国家試験までの1年弱を通して、みなさんの国試対策のヒントになるようなお話をしたいと思います。
さて、「国試対策って、何から手を付けたらいいんだろう?」と思う方もいらっしゃると思います。まずは「国家試験を知る」ことから始めましょう!
1.国家試験の合格基準
そもそも国家試験で何点とれば合格かご存知ですか?
以下の表をご覧ください。
問題種別 | 出題数 | 配点 | 合計点 | 評価基準 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
基準 | 第111回 | 第112回 | 第113回 | ||||
(1)必修問題 | 50問 | 1点 | 50点 | 8割以上の 正答 (絶対基準) | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 |
(2)一般問題 状況設定問題 | 130問 | 1点 | 250点 | 一定以上の 点数 (相対基準) | 167点以上 /250点 | 152点以上 /249点 | 158点以上 /250点 |
60問 | 2点 |
問題数は全240問で合計300点満点の試験です。ポイントは(1)の「必修問題」です。50問中40問以上正答しないと、一般・状況設定問題でいくら得点しても、合格できないという絶対基準で評価されます。(2)の一般・状況設定問題の合格ラインは、毎年変動します。(1)(2)両方の評価基準を満たした場合のみ、合格となります。満点を取る必要はありません。相対基準の合格ラインを超えることが大切なのです。とはいえ、その合格ラインは毎年異なり、ご覧のとおり第111回(2021年度)と第112回(2022年度)では15点もの差があります。第111回のような場合を想定し、170点くらいを目標とすると、安心ですよ。
2.看護師国家試験の変化
第113回の難易度は?
2024年2月に実施された第113回を受験した学生さんからは、「難しかった」という声が多かったです。その要因は、必修問題含め、過去5年をさかのぼっても出題されたことがないような問題がいくつかあったことが要因かと思います。後々、そういった問題に対応できるようになることも理想ではありますが、まずは、頻出問題・基本的な問題でしっかり正答していくことが国家試験攻略の重要なポイントのひとつです。
五肢問題・一般問題の長文設問に要注意!
問題の難易度を左右する1つのポイントとして、五肢問題の出題数が挙げられます。五肢問題の出題数は流動的です。前々回の第111回では計35問(約15%)、前回の第112回では計41問(約17%)、今回の第113回では計38問(約16%)となっています。全問題の15~20%前後は五肢問題と思っておくとよいでしょう。
五肢問題の中でも、五肢択二問題には注意が必要です。なぜなら、選択した答えの2つとも正答しないと加点されないからです。そのため、「なんとなく覚えている」では、攻略できない問題も……。五肢問題は、重要なポイントについて出題されやすいですから、取りこぼしのないようにしていきましょう。
また、第106回頃から、一般問題でも検査データや病状経過などが示され、状況設定並みの設問がある問題が出題されています。検査データや病状経過があるということは、アセスメントが必要ですし、出題意図を読み解くのにも、一定の時間が必要になります。こういった問題は、読解が得意でない学生にとっては、状況設定問題同様に、手ごわいタイプの問題といえるでしょう。
個々の問題においては、やみくもに過去問を解くだけでは対応できない問題も増えています。それは、今の日本の医療は社会問題と直結していて、国家試験においても社会背景や社会問題が反映されているからです。超高齢多死社会、生産年齢人口の減少、核家族化、少子化、在宅医療、家族のケアなどはいずれも頻出のテーマです。
医療・看護の知識に関しては、すべての根幹である解剖生理学を理解したうえで、病理・病態を理解し、各期に合わせた治療・看護を選択するという、実践的な知識が求められています。これらを習得するためには、座学で学ぶ内容への深い理解はもちろん、臨地実習での体験を、いかに座学で学んだ知識とリンクさせていくかがポイントになります。
出題基準を要チェック!
なお、国家試験の出題範囲である「出題基準」(令和5年版)は、全受験生必携です。ここ数年の過去問で出題されていない問題でも、出題基準には当然のことながら含まれています。必修問題などにおいては、ただ過去問をこなすだけでなく、出題基準を一つずつ確認し、取りこぼしがないか確認しておくことも、学習の一環になります。
次回から、114回に向けた国試出題科目ごとの攻略法を連載していきます。みなさんの国試合格に向けた勉強方法の参考になれば、幸いです!
ぜひ、ご覧ください!
「国試にはどんな問題が出るんだろう?」と気になったあなたには、こちらがオススメ!
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