大事なアノ検査が受けられないことも!?

入れ墨がせっけんで簡単に落とせるとは、誰も思いません。

学生の頃、教室で居眠りをしていたら、友人にボールペンで落書きをされたことがありました。
右手の甲に描かれたドラえもんの顔(ぜんっぜん似てないし~)!
もしこのドラえもんがそのまま入れ墨になっていたら、その後の人生、かなり残念だったに違いない(笑)。

人間の皮膚は新陳代謝するのに、なぜ入れ墨は消えないんでしょう。

お風呂でどんなにこすっても、ボロボロ落ちるのは垢ばかり。
え?「看護と入れ墨って、ぜんぜん関係ないじゃん」?
まぁまぁ、そうおっしゃらずに。


人間の皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層で構成されています。

★身体の表面にあるのが「表皮」
表皮はさらに四つの層(皮膚の表面から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層)に分かれています。
このうち、新陳代謝に関わっているのは基底層とよばれる部分。ここでは毎日のように、新しい細胞がつくられ、その細胞は上層へと押し出され、角質(垢の成分)として剥がれ落ちます。

★一方、「真皮」「皮下組織」はというと「表皮」に比べて、新陳代謝のスピードがはるかに遅い!
(数年単位だそうです。あ~気が遠くなりそう)

そして、入れ墨は、その真皮に針や刃物を刺し、真皮の結合組織を染める技法で、インクには墨汁、朱(酸化水銀によってつくられる赤色顔料)、酸化鉄など皮膚に沈着しやすい成分が使用され、簡単には消えないというのです。

皮膚の構造

◆新陳代謝が遅い部位
◆沈着しやすいインク

このWパンチこそ、入れ墨が生涯にわたり刻み込まれる理由だったのです。


ここで、看護師として知っておきたいことがひとつ。

入れ墨を施している患者さんは、MRI検査を受けられない場合が多いということ。

入れ墨のインクに使われている金属成分がMRIの磁気と反応する危険性があるため、医療機関が検査を断ることもしばしばあるとのこと。入れ墨の部分に痛みや火傷が生じたり、MRIの画像にノイズが入ったりする医療事故が報告されていることから検査前の問診はとても重要です。

MRI検査を受ける患者さんがいたら
「背中に龍、背負ってませんか?」とたずねること。
背中の龍が火を吹く前に、何としても阻止せねば!(笑)

ひぃぃ~

(イラスト:matya)