今回は「地域・在宅看護論」についてです。
患者さんや利用者さんに安全・安楽な在宅療養生活が提供できるよう、必要な知識をしっかり学んでいきましょう。
「地域・在宅看護論」の学習ポイント
2)訪問看護の基本を押さえる
3)精神保健医療福祉に関する法律
1)地域包括ケアシステムを理解する について
過去問を見ながら、地域包括ケアシステムについて学んでいきましょう。
地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。
1. 都道府県を単位として構築することが想定されている。
2. 75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
3. 本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。
4. 地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。
正解/3
地域包括ケアシステムとは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みのことです。
2025(令和7)年までに、市町村や都道府県が主体的に各地域の特性に応じた体制構築を目指しています。
もう1問見てみましょう。
地域包括ケアシステムにおける支援のあり方で、「互助」を示すのはどれか。
1. 高齢者が生活保護を受けること
2. 住民が定期的に体重測定すること
3. 要介護者が介護保険サービスを利用すること
4. 住民ボランティアが要支援者の家のごみを出すこと
正解/4
地域包括ケアシステムは社会保障制度のひとつであり、その社会保障制度の役割分担に関する考え方に「自助」「互助」「共助」「公助」があります。
・互助:個人的な関係性をもつ人同士が互いに助け合うこと、家族や近隣どうしの助け合いなどインフォーマル(非公式)な社会資源を活用すること など
・共助:制度化された相互扶助、医療保険、介護保険、年金保険など仲間(被保険者)どうしで負担し合うもの
・公助:自助・互助・共助では対応できない問題に対応するため、税による負担で成立するもの。生活保護や人権擁護、虐待対策の制度 など
地域包括ケアシステムは、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体となって提供されることで、個々のニーズに合わせた支援ができるように設計されています。看護師として、地域の医療・介護資源と連携し、多職種と協力しながら患者や家族を支えるため、このシステムの仕組みや役割を理解しましょう。
2)訪問看護の基本を押さえる について
出題基準には、在宅での看護ケアの流れや、患者さんが自宅で安心して療養できるようにするため、がんや脳血管疾患の在宅看護、酸素療法における注意点や医療機器の使い方、褥瘡予防などが明記されています。
では、在宅酸素療法に関する問題を解いてみましょう。
在宅酸素療法について正しいのはどれか。
1. 酸素濃縮器は寝室に常設する。
2. 酸素を吸入しながら入浴できる。
3. 酸素流量は療養者が自覚症状に合わせて調整する。
4. 外出できない療養者には携帯型酸素ボンベは必要ない。
正解/2
在宅酸素療法で主に使われている酸素濃縮器は、部屋の空気を取り込んで、そこから窒素を取り除き酸素を濃縮して供給するものです。停電時には使用できないため、合わせて酸素ボンベの準備が必要となります。
設置場所の指定はなく、生活導線を考えて設置します。引火する恐れがあるため装置の周囲2m以内には、火気を置かないこと、酸素吸入中には、たばこを絶対に吸わないことが注意点となります。
もう1問見てみましょう。
Aさん(80歳、女性)は1人暮らしで、在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。訪問看護師はAさんに停電時を想定した避難行動の指導を行うことにした。
Aさんの停電時の避難行動で優先度が高いのはどれか。
1. 電気のブレーカーを落とす。
2. 玄関の扉を開けて出口を確保する。
3. 訪問看護ステーションに連絡をする。
4. 酸素濃縮器から酸素ボンベに切り替える。
正解/4
停電時に酸素濃縮器は使用できないため、酸素ボンベに切り替える必要があります。
在宅療養患者は、病院で受けるような専門的なサポートを日常的に受けることが難しいため、在宅酸素療法や褥瘡予防、感染対策に関する知識が十分でないことがあります。
看護師は、正しいスキンケア方法や感染対策、手洗いの方法などを、療養者をサポートする家族も含め丁寧に教育し、家庭での実施を支援することが大切です。国家試験勉強を通して確実に知識をつけましょう!
3)関連する法律や制度を知る について
過去問をみてみましょう。
介護保険の介護給付で利用できる居宅サービスはどれか。
1. 訪問入浴介護
2. 介護予防居宅療養管理指導
3. 看護小規模多機能型居宅介護
4. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
正解/1
介護保険には居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスがあります。
覚え方を説明しておきます。
・居宅サービス:訪問看護、訪問介護、デイサービスなど家で過ごすためのサービス
・施設サービス:介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護医療院、介護療養型医療施設
・地域密着型サービス:小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護(居宅サービス、施設サービス以外の長い名前のものと覚える)
もう1問見てみましょう。
介護保険制度における都道府県が指定・監督を行う居宅サービスはどれか。
1. 福祉用具貸与
2. 小規模多機能型居宅介護
3. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
4. 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉
正解/1
居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスを分けることができたら、下の表の上段に書かれているものが都道府県、下段に書かれているものは市町村が監督を行うサービスということを覚えましょう。
●介護保険制度におけるサービス等の種類
難しく感じますが、介護保険制度のサービスの分類は意外と点数が取れる分野です。しっかりと勉強すれば確実に点数アップにつながるので、ぜひ頑張ってみてください。
今回の参考問題リストもぜひご参考に。
次回は看護の統合と実践について説明します。