今回は「精神看護学」についてです。

精神看護学の分野を学ぶためには、まず精神疾患に対する基礎知識をしっかりと押さえることが大切です。統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、認知症などの主要な精神疾患の特徴・原因・診断基準・治療法などについて理解を深めましょう。また、精神保健医療福祉に関する法律への理解も欠かせません。

「精神看護学」の学習ポイント

1)主要な精神疾患の特徴
2)精神科における薬物療法と看護の理解
3)精神保健医療福祉に関する法律

1)主要な精神疾患の特徴と 2)精神科における薬物療法と看護の理解 について

ポイント1)と2)は、出題基準においてこのように明記されています。

今回は統合失調症について学習していきましょう。

第97回 AM144
統合失調症の陰性症状はどれか。
1. 作為体験
2. 感情鈍麻
3. 滅裂思考
4. 被害妄想
正解/2

統合失調症は陽性症状と陰性症状という区分が用いられることが多いです。
・陽性症状:普段みられないものがある→幻覚・妄想・思考障害など
・陰性症状:普通あるはずのものがない→意欲の低下、感情の平板化、自発性の低下、活動性の低下など

また、統合失調症の主要症状についても、国試に出題されることが多いです。
・作為体験:他の人からの圧倒的な影響によって自分が操られると感じる体験
・感動鈍麻:いきいきした感情がほとんどみられない感情の平板化や無感情など統合失調症の陰性症状にみられる
・滅裂思考:意識清明な状態で生じるまとまりのない思考。統合失調症の陽性症状にみられる
・被害妄想:他者からひどいことをされている、危害を加えられている、などの妄想

もう1問見てみましょう。

第107回 PM60
統合失調症の幻覚や妄想に最も関係する神経伝達物質はどれか。
1. ドパミン
2. セロトニン
3. アセチルコリン
4. ノルアドレナリン
正解/1

それぞれ、主にかかわりのあるものについて、まとめておきましょう。
・ドパミン→統合失調症の陽性症状
・セロトニン→うつ病
・アセチルコリン→運動神経の神経伝達物質
・ノルアドレナリン→交感神経節後線維の神経伝達物質

薬物療法に関する問題も見ておきましょう。

第99回 AM80
オランザピン<非定型抗精神病薬>内服中の患者で最も注意しなければならないのはどれか。
1. 高血圧
2. 高血糖
3. 高尿酸血症
4. 高アンモニア血症
5. 高ナトリウム血症
正解/2

統合失調症で使用される治療薬には「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」があります。「定型抗精神病薬」は錐体外路症状などの副作用が多く、それらを軽減することを目的に「非定型抗精神病薬」が開発されました。
確かに「非定型抗精神病薬」は錐体外路症状の副作用は押さえられますが、食欲増進に伴う体重増加、血糖値の上昇、起立性低血圧といった副作用に注意しなければなりません。
特に非定型抗精神病薬のなかで、オランザピン、アリピプラゾール、クロザピンは血糖値を著しく上昇させるおそれがあるため、糖尿病をもつ患者さまには慎重な投与が必要です。

今回は統合失調症についてみましたが、これ以外の出題基準にある疾患は必ず教科書で復習しましょう。

 

3)精神保健医療福祉に関する法律 について

精神看護学の基盤となる法律は「精神保健福祉法」です。

今回は、頻出である入院形態について問題を解いてみましょう。

第110回 PM81
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定された入院形態で、精神保健指定医2名以上により、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると診察の結果が一致した場合に適用されるのはどれか。
1. 応急入院
2. 措置入院
3. 任意入院
4. 医療保護入院
5. 緊急措置入院
正解/2

精神保健福祉法に規定された入院形態の詳細については、この表をご覧ください。

第112回 AM88
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく入院形態で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 応急入院は72時間以内に限られている。
2. 緊急措置入院中の患者は本人と家族が希望すれば退院できる。
3. 措置入院中の患者は精神医療審査会へ退院請求を申し出ることができる。
4. 精神保健指定医は任意入院中の患者について入院継続を必要と判断しても、退院を制限できない。
5. 医療保護入院のためには入院の必要性に関する2名の精神保健指定医の一致した判断が必要である。
正解/1・3

精神医療審査会は、精神科病院に入院している患者さんの権利を守るために設置された第三者機関です。
本人の同意なしに入院させられている人たちが、適切に治療を受けているか、権利が侵害されていないかを確認することが目的です。患者さんやその家族が「この入院や治療が不適切だ」と感じた場合、精神医療審査会に申し立てを行うことができます。審査会は、その意見を聞いて、公平な立場で判断を下します。

このように入院形態や精神医療審査会など法律内容について理解することはとても重要です。なぜなら、精神科病院に入院している患者さんの権利を守り、公平で適切な治療が行われることを保証する役割を果たしているからです。

 

患者さんが不安なく治療を受けられるよう、私たち一人ひとりがこの仕組みの意義を理解し、患者さんの権利が守られているかどうか関心を持ち、学びを深めていきましょう!

今回の参考問題リストもぜひご参考に。

次回は地域・在宅看護論について説明します。