今回は「老年看護学」についてです。
老年看護学では「人体の構造と機能」の知識をふまえた上で、老年期の身体機能、認知機能、心理・社会的変化(発達課題)、高齢者の機能と評価、高齢者の生活を支える制度と施策を中心に勉強しましょう。
「老年看護学」の学習ポイント
2)機能評価を徹底攻略!
3)社会保障制度のおさらい
1)老年期に特徴的な疾患を学ぶ
老年看護学の出題範囲(一部)を見てみましょう。
この中から、今回は骨粗鬆症について見ていきます。
更年期女性の骨粗鬆症の予防で適切でないのはどれか。
1. 禁 煙
2. 有酸素運動
3. カロリー制限
4. ビタミンDの摂取
正解/3
骨粗鬆症とは、骨量減少による骨強度の不足と骨折の危険性の増大を特徴とする骨格疾患のことです。
骨量が減少する要因は、カルシウムやビタミンDの不足、エストロゲンの減少、運動量の減少です。
骨粗鬆症の問題では「人体の構造と機能」で学んだ骨形成、骨吸収、カルシトニン、パラソルモン、カルシウムとビタミンDの関連、腎のはたらき、エストロゲンの作用を思い出すことが重要です。
骨粗鬆症についてもう1問みてみましょう。
更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなるのはどれか。
1. 乳 癌
2. 骨粗鬆症
3. 子宮体癌
4. 静脈血栓症
正解/2
エストロゲンは、骨吸収を抑制するはたらきをもっています。
閉経後の女性はエストロゲンが著しく減少するため、骨吸収を抑制している働きが弱まり、骨量の減少を招きます。骨粗鬆症が女性に多いのはこの理由からです。
老年看護学=認知症と限定せず、このように老年期に多い疾患をより深掘りすることで、点数アップにつながります。
2)機能評価を徹底攻略! について
老年看護学を攻略するうえで欠かせないのが、下記の出題基準にもある高齢者の機能評価です。この機能評価を知っているか、知らないかが状況設定問題の得点に関わってきます。
では、実際に状況設定問題を見てみましょう。
Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン病〉で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅡ。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため日中室内で過ごしている。
Aさんの障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準のランクはどれか。
1. ランクA
2. ランクB
3. ランクC
4. ランクJ
正解/1
「障害者高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」はこのように分類されます。
この表を全部覚えようとすると難しく感じますが、この中で絶対に覚えるべきポイントは次の部分なので、ぜひ覚えてみてください。
ランクJ:1人で外出できる
ランクA:1人での外出はむずかしい、日中は家で過ごす
ランクB:車いすを使用する
ランクC:寝返りをうてるか、うてないか
つまり、Aさんの場合、「外出可能だが、日中は家で過ごす」という一文から、ランクAに該当することがわかります。
3)社会保障制度のおさらい について
老年看護学の出題基準において社会保障制度に関する部分は、下記緑の囲み部分になります。
このうち、高齢者医療確保法、介護保険制度は必修問題にも該当するので再度復習し、知識を定着させましょう!
関連する問題を見ておきましょう。
後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。
1. 医療法
2. 健康保険法
3. 高齢社会対策基本法
4. 高齢者の医療の確保に関する法律
正解/4
もう1問見てみましょう。
後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する( )歳以上の者、および65歳以上( )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。
( )に入るのはどれか。
1. 70
2. 75
3. 80
4. 85
正解/2
この問題のポイントは、後期高齢者医療制度の対象は75歳以上の方のみでなく、65~74歳の一定の障害を抱える方も該当する、ということです。
国家試験では、必修問題では概要が問われ、一般問題では法律の細部についても問われる傾向にあります。細かいところも学び直して、確実に点数が取れるようにしましょう!
次回は、母性看護学についてです!