今回は、「母性看護学」についてです。

母性看護学は、一般問題においては周産期はもちろん、母子保健及び関連統計、新生児、ジェンダーなど幅広い範囲からの出題となっています。状況設定問題は従来通り、周産期中心の出題になっています。また、過去問題がそのまま出題されることも多く、正答率も例年高く推移しています。


 

母性看護学の攻略ポイントは?

母性看護学の攻略ポイントは、これだ!

1)出題の中心は、やはり周産期。
2)「性」に関連した問題が出題されることがある!
3)状況設定問題は、周産期+新生児!

 

1)出題の中心は、やはり周産期。 について

母性看護学では、やはりなんといっても周産期中心の出題です。妊娠期→分娩期→産褥期とまずは正常な過程を押さえていきましょう。

過去問を見てみましょう。

第109回AM62
子宮復古状態を観察する手順で正しいのはどれか。
1. 観察は排尿前に行う。
2. 褥婦には Fowler〈ファウラー〉位をとってもらう。
3. 褥婦の膝を伸展させて子宮底の高さを測定する。
4. 子宮底長は恥骨結合下縁から測定する。
答え:3

選択肢1は×。観察の前に排尿は済ませてもらいましょう。なぜなら、子宮は膀胱の下に位置しています。膀胱内に尿が貯留すると子宮底を押し上げるため、子宮底長にも影響があるからです。選択肢2も×、子宮復古状態の観察は仰臥位で行います。選択肢3が○です。褥婦の膝を伸展させて子宮底長の測定を行います。選択肢4は×。恥骨結合下縁からではなく、恥骨結合上縁から子宮底部までの長さを計測します。

しっかりと学習していなければ、全く歯が立たない問題ですね。とはいえ、周産期の問題はある程度出題パターンが決まっているので、いつもお伝えしているとおり、過去問をしっかりやり、傾向を把握、そして×選択肢も吟味をしっかりやって、ポイントを身に着けてください。

2)「性」に関連した問題が出題されることがある! について

近年の傾向として、「性」に関連した出題がみられます。いわゆる性別上の「性」ではなく、ジェンダーとしての「性」に関する出題、また性の多様性、性的嗜好やLGBTQに関する問題も出題されています。詳しくない方もいらっしゃるかと思いますが、臨床現場には多様な患者さまがいらっしゃいます。今のうちから理解を深めておくことは国試のみならず、将来的にも役立つものとなるでしょう。

111回では次のような問題が出題されました。

第111回AM61 
ジェンダーの定義について正しいのはどれか。
1. 生物学的な性
2. 社会的文化的な性
3. 自己認識している性
4. 性的指向の対象となる性 
答え:2

選択肢1の生物学的な性は「セックス」です。選択肢2の社会的分化的な性を「ジェンダー」といいます。選択肢3の自己認識している性を「性自認」ともいいます。英語では「sexual identity」といいます。また性自認と身体的性が一致していない方のことを「トランスジェンダー」と表現します。選択肢4の性的指向は「sexual orientation」といいます。
なお、性自認及び性的指向のことを「SOGI」と略し、「ソジ」と読みます。
これは、基本事項からの出題でしたので、難易度は高くはありませんでした。

ですが、過去には以下のような問題も出題されています。

第108回AM63 
平成16年(2004年)に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、戸籍上の性別を変更することが可能になった。  
その変更の条件で正しいのはどれか。
1. 15歳以上であること
2. うつ症状を呈していること
3. 現に未成年の子がいないこと
4. 両親の同意が得られていること
答え:3

かなり難易度の高い問題です。正直ここまで問うのかという印象もありますので、選択肢を吟味していくしかなさそうです。
選択肢1は、日本の他の法律と照らし合わせると、15歳は若い気がします。選択肢2は明らかに×ですね。選択肢3子からみた時、どちらか一方の性の親が2人というのは、日本の法律上ナシなのでは? 選択肢4は成人の場合は親の同意は不要でしょうし、選択肢1にも関わりますが、未成年で性別変更が可能なのか……。以上の検討の結果、一番妥当なのは3という印象を受けます。その問題に関する知識がなかったとしても、問題内容によっては、このように検討していくことで答えを導きだすことも可能です。

実際に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」をみると、その第3条に該当する部分あります。
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第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
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つまり、性同一性障害者の性別の取り扱いの変更は、家庭裁判所における審判によるもので、戸籍上の性別を変更するための条件は上記の5つであることがわかります

事前に知識として知っておけば、自信を持って答えることができます。教科書にも記載がありますので、授業で触れなかったとしても、国試前にはしっかり目を通すことをオススメします。なお、ここ3年でほかの出題された「性」に関する問題としては、性同一性障害・性別違和(107 AM54)、セクシュアリティの意義(104 PM64)、性的対象とその性的指向の分類(105 PM54)などがあります。

 

3)状況設定問題は、周産期+新生児! について

状況設定問題は、周産期及び新生児からの出題です。

過去問を見てみましょう。

第111回PM106〜108 
次の文を読み106~108の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。

状況設定文から出生直後の新生児の状態は大きな問題がなく、Aさんの分娩も大きな逸脱がない様子が確認できます。

〔問題 106〕 帰室時に看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
1.「排泄後は会陰部を消毒しましょう」
2.「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」
3.「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」
4.「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」
答え:4

1.× 排泄のたびに消毒する必要はありません。洗浄を行います。
2.× 手術創を温めるのは、血管が拡張し、炎症反応を増強させるため、行いません。
3.× 尿意を自覚して初回の排尿があったので、以降も尿意があったときに排尿を行って構いません。
4.○ 悪露の凝血は子宮収縮が悪いことを示しています。悪露の内容を確認し、子宮収縮程度を確認していきます。

〔問題 107〕 産褥2日、Aさんは、体温37.2℃、脈拍76/分、血圧112/80mmHg、子宮底を臍下2横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量。会陰縫合部の発赤なし、腫脹なし。下肢の浮腫は認めない。乳房緊満があり、左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通しており、初乳がにじむ程度に分泌している。Aさんは、看護師に会陰縫合部が痛くて歩きにくいと話している。
 Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
1.会陰縫合部の感染を起こしている。
2.乳房の変化は産褥日数相当である。
3.深部静脈血栓症の疑いがある
4.子宮復古が遅れている。
答え:2

1.× 会陰切開部の発赤・腫脹がなく、体温の上昇もないため、感染徴候は確認できません。
2.× 乳房緊満があり、左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通しており、初乳がにじむ程度に分泌している状態は、産褥2日目として問題のない経過です。
3.× 下肢の浮腫はないとされています。深部静脈血栓症を疑う徴候はありません。深部静脈血栓症を疑う場合、下肢の血色、浮腫、後脛骨動脈、即肺動脈の左右差の確認やホーマンズ徴候をみます。ホーマンズ徴候とは、患者さんに下肢を伸展させた状態で底背屈運動をしてもらい、腓腹部に疼痛を感じるか調べる検査です。もし痛みを感じるようであれば、ホーマンズ徴候「陽性」であり、下肢に血栓が形成されている危険が高くなります。
4.○ 「子宮底を臍下2横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量」とあり、子宮収縮状態は良好です。

〔問題 108〕産褥4日、看護師はAさんに退院指導をすることにした。Aさんの児の経過は順調である。
 Aさんと児が受けられるサービスとして、看護師が退院指導時に説明するのはどれか。
1.養育支援訪問
2.育成医療の給付
3.養育医療の給付
4.乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)
答え:4

1.× 養育支援訪問は、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の実施結果や母子保健事業、妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健医療の連携体制に基づく情報提供及び関係機関からの連絡・通告等により把握された家庭のうち、必要性がある場合に保健師・助産師・保育士等が訪問する事業です。Aさんには現時点で受けられるサービスではありません。
2.× 育成医療は自立支援医療の一つで、身体障害児への医療給付です。新生児が受けられるサービスではありません。
3.× 養育医療は、母子保健法に規定される未熟児に対する医療給付です。Aさんの児は正期産であり、出生児体重が3,200gであり、給付対象に該当しません。
4.○ 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)は、児童福祉法に規定される公的サービスです。生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、様々な不安や悩みを聞き、子育て支援に関する情報提供等を行うとともに、親子の心身の状況や養育環境等の把握や助言を行い、支援が必要な家庭に対しては適切なサービス提供につなげることを目的とした事業です。Aさん、及び新生児が受けられるサービスです。

 
 
状況設定問題の周産期に関する問題においては、特に異常のない正常分娩であるケースも多いですが、それをしっかりとアセスメントできているかがポイントになります。児や産褥の状況は刻々と変化しますので、それらの何が正常で、何が異常なのかをしっかりと暗記しておき、アセスメントしていくことが、得点につながります

 
今回のポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、精神看護学について説明します!