今回は、苦手科目の筆頭「人体の構造と機能」についてです。
近年「人体の構造と機能」は、難易度が高めの設問が多くなっています。ただし、111回は解きやすい問題が並びました。この科目は、全ての科目のベースとなる分野です。まず最初に手をつけたい科目であり、昨年度のみの難易度に惑わされることなく、しっかり学習をして臨みましょう。
人体の構造と機能の攻略ポイントは?
人体の構造と機能の攻略ポイントは、これだ!
2)神経系、内分泌は絶対チェック!!
1)過去問を利用して理解していく学習を。について
過去問を使う意義は、2つあります。
1つ目は、頻出テーマを理解すること。もう1つは、それらの頻出テーマについて、掘り下げて理解しすることです。
では、実際に過去問を使って、具体的に見ていきましょう。
生体内でタンパク質が分解され、アミノ酸の代謝が進んで生じたアンモニアは肝臓で( )に変換される。
( )に入るのはどれか。
1.尿 酸
2.尿 素
3.亜硝酸
4.一酸化窒素
肝臓の働きについて( )抜きの形式で問う内容です。基本事項なので、確実に正答したい問題です。とはいえ、問われ方が異なると、「ん?」と混乱しまう学生さんも多いようですが……。
この問題のテーマは「アミノ酸の代謝」、そして「肝臓の作用」です。
タンパク質は分解されるとアミノ酸になります。このアミノ酸から派生するがアンモニアです。アンモニアは体内では有毒な作用をもたらすため、無毒化する必要があります。これが肝臓にある尿素回路〈オルニチン回路〉の働きです。肝機能が低下し、アンモニアがそのまま血中に放出されると、脳にダメージを与えます。これを肝性脳症といいます。
選択肢をみていきましょう。
1.× 尿酸は核酸、プリン体(アデニン、グアニンのプリン塩基)から生成されます。
2.○ 代謝の流れは、「アミノ酸→アンモニア→肝臓で尿素」と覚えておきましょう。
3.× 亜硝酸には変換されません。
4.× 血管内皮細胞内のNO合成酵素〈NOsynthase〔NOS〕〉は、アミノ酸のアルギニンを基質として一酸化窒素〈NO〉を産生します。この一酸化窒素が、血管平滑筋を弛緩し血管を拡張させる作用を持ちます。
選択肢の中には明らかな誤りもみられますが、丁寧に1つひとつ確認して知識を増やしていきましょう。
2)神経系、内分泌は絶対チェック!! について
神経系と内分泌に関する問題は、「人体の構造と機能」の中でも特に頻出テーマです。覚えることが多いのに似たような単語が多く、苦手とする学生も多いテーマだと思います。例年、非常に出題が多く感覚器、神経系、代謝、消化器にも関わるところも出題されます。つまり、神経系と内分泌をやらずして、「人体の構造と機能」の攻略はあり得ないのです。夏休みなどを利用して、じっくりと取り組んでおいてほしいポイントです。
過去問を見てみましょう。
副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。
1. 動眼神経
2. 三叉神経
3. 内耳神経
4. 迷走神経
5. 舌下神経
答え:1・4
血圧を上昇させるのはどれか。2つ選べ。
1. セロトニン
2. ヒスタミン
3. バソプレシン
4. ブラジキニン
5. 心房性ナトリウムペプチド
答え:1・3
脳神経と言えば、その12対を「嗅いで見る、動く滑車の・・・・・・」と覚えている人がほとんどでしょう。しかし、それだけでは答えにたどり着きません。また、ホルモンについては、分泌器官と生理作用、受容器をセットで覚えている人も多いと思います。が、この問題を見てわかるように、それだけでは、知識が足りません。
ただ暗記するのではなく、なぜそのホルモンが分泌されるのか、その脳神経は何を司っているのか、というメカニズムから理解しておかないと得点につながらないのです。
このように、過去問を見ておくことで、どこまで学習を広げておくべきなのかを理解することができたのではないでしょうか。「人体の構造と機能」で得点するには、各臓器・器官の「構造」と「機能」を正しく理解しておくことがすべてなのです。過去問をやって暗記して終わりではなく、その「構造」と「機能」をしっかりじっくり復習していきましょう。
今回の2ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、疾病の成り立ちと回復の促進について説明します!