新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめてから3年目になりますが、withコロナ時代はまだ続きそうです。昨年度の第111回看護師国家試験は、一昨年度同様、感染対策をとりつつ通常通り行われました。ということは、みなさんが受験する今年度の国試も、通常通り行われるわけです。なお、感染した受験生のための追試や救済措置はありませんでした。今年度はどうなるか厚労省の発表を待ちましょう。
また、オンライン授業・実習になったり、臨地実習に行けないなどの状況もあるかと思います。しかし、それを嘆いていても現状は変わりません。それぞれの環境の中でできる国試対策を、一つひとつ進めていきましょう。
この「医教の国試対策勉強法」では、第112回国家試験まで、みなさんの国試対策のヒントになるようなお話をしたいと思います。
さて、「国試対策って、何から手を付けたらいいんだろう?」と思う方もいらっしゃると思います。まずは「国家試験を知る」ことから始めましょう!
1.国家試験の合格基準
そもそも国家試験で何点とれば合格かご存知ですか?
以下の表を見てください。
問題種別 | 出題数 | 配点 | 合計点 | 評価基準 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
基準 | 第109回 | 第110回 | 第111回 | ||||
(1)必修問題 | 50問 | 1点 | 50点 | 8割以上の 正答 (絶対基準) | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 |
(2)一般問題 状況設定問題 | 130問 | 1点 | 250点 | 一定以上の 点数 (相対基準) | 155点以上 /250点 | 159点以上 /250点 | 167点以上 /250点 |
60問 | 2点 |
問題数は全240問で合計300点満点の試験です。ポイントは(1)の「必修問題」です。50問中40問以上正答しないと、一般・状況設定問題でいくら得点しても、合格できないという絶対基準で評価されます。(2)の一般・状況設定問題の合格ラインは、毎年変動します。(1)(2)両方の評価基準を満たした場合のみ、合格となります。満点を取る必要はありません。相対基準の合格ラインを超えることが大切なのです。とはいえ、その合格ラインは毎年異なり、その差も結構大きいので、170点くらいを目標とすると、安心かと思います。
2.看護師国家試験の変化
第111回の難易度は?
2022年2月に実施された111回は、受験学生さんからは「やや簡単だった」という声が多かったように感じます。実際の難易度としては、必修ではちょっと珍しい問題もありましたが、一般・状況設定の評価基準(合格ライン)が例年より8点も高いことからもわかるように、易しかったと言えます。
過去10年をさかのぼってみて言えることは、問題自体の難易度に大幅な変化はなく、また、コロナの影響で難易度や出題傾向が大幅に変わることはない、ということです。
五肢問題・一般問題の長文設問に要注意!
問題の難易度を左右する1つのポイントとして、五肢問題の出題数が挙げられます。五肢問題の出題数は流動的です。前々回の109回では計37問(約15%)、前回の110回では計43問(約18%)、今回の111回では計35問(約15%)となっています。全問題の15~20%前後は五肢問題と思っておくとよいでしょう。
五肢問題の中でも、五肢択二問題には注意が必要です。なぜなら、選択した答えの2つとも正答しないと加点されないからです。そのため、「なんとなく覚えている」では、攻略できない問題も……。五肢問題は、重要なポイントについて出題されますから、取りこぼしのないようにしていきましょう。
また、106回頃から、一般問題でも検査データや病状経過などが示され、状況設定並みの設問がある問題が出題されています。検査データや病状経過があるということは、アセスメントが必要ですし、出題意図を読み解くのにも、一定の時間が必要になります。こういった問題は、読解が得意でない学生にとっては、状況設定問題同様に、手ごわいタイプの問題といえるでしょう。
個々の問題においては、やみくもに過去問を解くだけでは対応できない問題も増えています。それは、今の日本の医療は社会問題と直結していて、国家試験においても社会背景や社会問題が反映されているからです。超高齢社会、生産年齢人口の減少、核家族化、少子化、在宅医療、家族のケアなどはいずれも頻出のテーマです。
医療・看護の知識に関しては、すべての根幹である解剖生理学を理解したうえで、病理・病態を理解し、各期に合わせた治療・看護を選択するという、実践的な知識が求められています。これらを習得するためには、座学で学ぶ内容への深い理解はもちろん、臨地実習での体験を、いかに座学で学んだ知識とリンクさせていくかがポイントになります。
なお、国家試験の出題範囲である「出題基準」が、今年度改定されました。改定自体は4~5年に一度定期的に行われてきました。今回の令和5年版が前回の平成30年版から大幅に変わった点は、「在宅看護論」の部分と言えるでしょう。何が新しく追加されているのか、変更になったのかは、確認しておくとよいと思います。とはいえ、大部分については大幅な変更はありません。つまり、これまで国家試験に出題されてきている知識の基本的な理解が重要ということです。
次回から、112回に向けた国試出題科目ごとの攻略法を連載していきます。みなさんの国試合格に向けた勉強方法の参考になれば、幸いです! ぜひ、ご覧ください!
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第112回看護師国家試験対策模擬試験 基礎問題編