今回は、「看護の統合と実践」についてです。

「統合と実践」では、看護管理、安全管理、災害看護学、国際看護学の範囲から出題をされています。さらに状況設定問題では、複合的な事象における統合的な問題という出題基準の内容を踏まえ、一人の患者さんに対して様々な場で行われる看護に関する設問構成となっています。
では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

看護の統合と実践の攻略の攻略ポイントは?

看護の統合と実践の攻略の攻略ポイントは、これだ!

1)医療法、保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保に関する法律は必ず確認しておこう!
2)国際看護では、外国人患者への対応についてチェックしておこう。
3)状況設定問題の1症例は「継続看護」から出題される。

1)医療法、保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保に関する法律は必ず確認しておこう! について

これらは、必修や健康支援と社会保障制度でも出題されますが、看護の統合と実践においては、やや難易度が上がっている場合もあります。

過去問を見てみましょう。

第108回 AM75
医療提供の理念、病院・診療所等の医療を提供する場所、その管理のあり方を定めたのはどれか。
1.医療法
2.医師法
3.健康保険法
4.保健師助産師看護師法
答え:1

「医療提供の理念、病院・診療所などの医療を提供する場所、その管理のあり方」については、医療法の中にそれらを規定している文言があります。

もう1問見てみましょう。

第107回 AM66 
看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めているのはどれか。
1. 医療法
2. 労働契約法
3. 教育基本法
4. 看護師等の人材確保の促進に関する法律
答え:4

「看護師が自ら進んでその能力の開発および向上をはかる努力義務」については、看護師等の人材確保の促進に関する法律(第6条)に定められています。

さらに、もう1問見てみましょう。

第107回 AM70 
特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。
1. 特定行為は診療の補助行為である。
2. 研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
3. 研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
4. 看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。
答え:1

特定行為とは、保健師助産師看護師法にその規定があります。「診療の補助であつて、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。」(第37条の2第2項第一号)。選択肢2の研修期間は、厚生労働大臣が指定します(保健師助産師看護師法第37条の2第2項第五号)。選択肢3、実務経験年数の規定はありません。選択肢4、特定行為研修については、同法第37条の2第2項第四号に規定されています。

3問見ましたが、やはり必修レベルとはその難易度が大きく異なることが分かると思います。つまり、これらもやはり学習しておかないと正解が選べない問題、ということになり、過去問に挑戦、その問題の×選択肢も含めた周辺知識の理解が欠かせません
 

2)国際看護では、国際看護では、外国人患者への対応についてチェックしておこう。 について

国際看護の問題は例年出題されていますが、学校で科目として習わない、または選択科目であるという方がほとんどだと思います。こういった場合も、やはり過去問で傾向をつかみ、その都度、学習を深めておくことで対処するのが最適でしょう。

問題としては、大きく分けて2パターンあり、出題傾向としては以下の通りです。
●外国人患者への対応:言葉が通じないなどのコミュニケーションの問題、宗教上や文化的背景からの生活習慣の違いへの対処法、健康保険証の所持など
●国際機関に関する問題:国連・JICA・WHO

外国人患者への対応については、過去問や模試問題をやって、それらの解説をよく読んでおいてください。ポイントを押さえれば、加点につなげていけるでしょう。

過去問を見てみましょう。

第109回 PM118 
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
1. 外国語が話せる医師を呼びに行く。
2. 付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
3. Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
4. Aさんの母国語で書かれた問診票を取りに行く。
答え:3

最も優先すべきはAさんの「だるくて立っていられない」という不調の訴えを軽減することです。Aさんは日常会話程度の日本語が話せるということなので、簡単な日本語で処置室に案内し、選択肢3の「横になってもらう」が正しいです。現時点では、選択肢12のように通訳者など探す必要性は低いというポイントを押さえてください(診察や治療方針などを話す場合は、通訳者が必要になります)。
医療機関にはさまざまな背景を持つ人が来ます。その人の表情や状況から、その場で何を優先すべきかを判断することが重要になります。言葉が通じない場合もありますが、正確なコミュニケーションをとることよりも、その人の苦痛を取り除くことの方が優先される場合もあり得るでしょう。看護職には臨機応変な対応が求められていることを忘れずに

 

3)状況設定問題の1症例は「継続看護」から出題される。 について

冒頭で説明した複合事象の状況設定問題は、まだ出題数が少ないので、ピンとこない方もいるかもしれません。
さっそく過去問を見てみましょう。

第110回 PM118~120
 Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。
身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。
バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
検査所見:赤血球410万/μL、白血球6、800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。

問題118 Aさんの状態をアセスメントするために、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1. 口渇感
2. 呼吸音
3. 尿比重
4. 腹部膨満感
答え:3

問題119  Aさんは入院となり、点滴静脈内注射が開始された。入院当日の夜間、Aさんは「ここはどこか、家に帰る」などと言い、点滴ラインを触ったり杖を使わずにトイレに1人で行こうとしたりして落ち着かず、ほとんど眠っていなかったと夜勤の看護師から日勤の看護師に申し送りがあった。
日勤でAさんを受け持つ看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 時計をAさんから見える場所に置く。
2. 主治医にAさんの退院について相談する。
3. 日中はAさんにスタッフステーションで過ごしてもらう。
4. 点滴ラインがAさんの視界に入らないようにする。
5.日中はAさんの病室の窓のカーテンを閉めておく。
答え:1・4

問題120  入院から1週が経過し、Aさんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。Aさんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在のAさんの日常生活動作〈ADL〉は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して排泄している。
現在のAさんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 薬剤師
2. 民生委員
3. 管理栄養士
4. 理学療法士
5.介護支援専門員
答え:4・5

設問ごとにAさんに対応する看護師、看護場面が異なることが読み取れます。設問118は外来、設問119は夜勤から日勤への申し送りの後の対応、設問120は回復期にあるAさんへの退院に向けての援助となっています。Aさんは、88歳という高齢であること、基礎疾患、合併症があることなど複合的な事象を抱えている患者さんです。老年看護学、在宅看護論、精神看護学、成人看護学、基礎看護学などの知識を統合して回答をしていく必要があります。

それぞれ設問を見ていきましょう。
118 Aさんへの適切な情報収集事項を問う設問です。データから読み取れることを元に判断していきます。もっとも気になるのが、血液検査データのHtです。Ht〈ヘマトクリット〉は、血液に占める血球の割合です。一般的に40〜45%程度です。高齢者であるAさんは、下限に近い値になるはずですが、50%と高値です。これと合わせて確認しておきたいのが、血清Na値です。こちらもおよそ140±5m Eq /Lが目安です。Aさんは150を呈しています。そのほか、微熱であること、水分の摂取が不足していることなどから、高張性脱水である可能性が高いです。
選択肢を見ていきましょう。脱水に関連した事項が2つあります。選択肢1の口渇感と選択肢3の尿比重です。Aさんの年齢を確認しましょう。Aさんは88歳という高齢であり、「呼びかけに対して返答はあるが、反応はやや遅い」とあります。高齢者は口渇感を感じにくく、さらに自覚症状を訴えることは難しい状態であると判断します。よって、客観的指標となる選択肢3の尿比重が正解となります。

119は、夜間にせん妄を呈している状態が書かれています。ただし、聞かれているのは「日勤の看護師の対応」です。昼夜逆転とならない環境を作ることや、せん妄への対応の基本的原則を踏まえて回答しましょう。よって、1・4が正解です。選択肢3を選ぶ人も多くみられましたが、必要がないにもかかわらず、ナースステーションで過ごすのは、Aさんの行動を過度に制限していることにつながるため、適切な対応とはなりません。

120は、1週間が経過して状態が改善した状況が書かれています。Aさんの妻が在宅で療養することへの不安を話しています。Aさんは歩行に不安があることから転倒のリスクが高い状態です。冒頭の設定で、要介護2であること、介護保険サービスを利用していることが書かれています。
入院前とは状態が異なり、介護の度合いが変化しています。Aさんの退院に向けて、選択肢4の理学療法士と連携し、残る入院期間で退院に向けた援助を検討し、介護支援専門員〈ケアマネジャー〉へ介護度の見直し、またはケアプランの見直しを依頼する必要性があります。

 

今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。

以上で、今年度の国試対策勉強法は終了です。
途中からご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれません。コチラに一覧になっておりますので、国試までの残りの期間に、ぜひご活用ください。
みなさんが実力を発揮され、合格されますことを心より祈念しております!