今回は、「看護の統合と実践」についてです。

現在の平成30年版出題基準で大幅に変化があったのは、「看護の統合と実践」でした。特に、大きな変更があったのが目標Ⅳで、以下のようになっています。

ここで注意したいのが、赤色のアンダーラインを引いた「臨地の状況に近い複合的な事象における統合的な問題」という点です。すでに国家試験においても、これに該当するであろう問題は出題されています。108回AM118~120(慢性疾患患者が圧迫骨折で入院)、108回PM118~120(末期のスキルス胃癌の息子と認知症疑いの父親への対応)などです。

上記のような新傾向がみられることは事実ですが、「看護の統合と実践」においても、これまで同様、過去問の分析が重要なことに変わりはありません。

では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

看護の統合と実践の攻略の攻略ポイントは?

看護の統合と実践の攻略の攻略ポイントは、これだ!

1)医療法、保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保に関する法律は必ず確認しておこう!
2)国際看護では、国連とJICAをチェック!
3)状況設定問題は、継続看護から出題される。

1)医療法、保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保に関する法律は必ず確認しておこう! について

これらは、必修や健康支援と社会保障制度でも出題されますが、看護の統合と実践においては、やや難易度が上がっている場合もあります。

過去問を見てみましょう。

第108回 AM75
医療提供の理念、病院・診療所等の医療を提供する場所、その管理のあり方を定めたのはどれか。
1.医療法
2.医師法
3.健康保険法
4.保健師助産師看護師法
答え:1

「医療提供の理念、病院・診療所などの医療を提供する場所、その管理のあり方」については、医療法の中にそれらを規定している文言があります。

もう1問見てみましょう。

第107回 AM66 
看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めているのはどれか。
1. 医療法
2. 労働契約法
3. 教育基本法
4. 看護師等の人材確保の促進に関する法律
答え:4

「看護師が自ら進んでその能力の開発および向上をはかる努力義務」については、看護師等の人材確保の促進に関する法律(第6条)に定められています。

さらに、もう1問見てみましょう。

第107回 AM70 
特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。
1. 特定行為は診療の補助行為である。
2. 研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
3. 研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
4. 看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。
答え:1

特定行為とは、保健師助産師看護師法にその規定があります。「診療の補助であつて、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。」(第37条の2第2項第一号)。
選択肢2の研修期間は、厚生労働大臣が指定します(保健師助産師看護師法第37条の2第2項第五号)。
選択肢3、実務経験年数の規定はありません。選択肢4、特定行為研修については、同法第37条の2第2項第四号に規定されています。

3問見ましたが、やはり必修レベルとはその難易度が大きく異なることが分かると思います。つまり、これらもやはり学習しておかないと正解が選べない問題、ということになり、過去問に挑戦、その問題の×選択肢も含めた周辺知識の理解が欠かせません
 

2)国際看護では、国連とJICAをチェック! について

国際看護の問題は例年出題されていますが、学校で科目として習わない、または選択科目であるという方がほとんどだと思います。こういった場合も、やはり過去問で傾向をつかみ、その都度、学習を深めておくことで対処するのが最適でしょう。

問題としては、大きく分けて2パターンあり、出題傾向としては以下の通りです。
●外国人患者への対応:言葉が通じないなどのコミュニケーションの問題、宗教上や文化的背景からの生活習慣の違いへの対処法、健康保険証の所持など
●国際機関に関する問題:国連・JICA

外国人患者への対応については、過去問や模試問題をやって、それらの解説をよく読んでおいてください。ポイントを押さえれば、加点につなげていけるでしょう。国際機関に関する問題についてはいろいろな機関名称が出てきて混乱しますが、特に国連とJICAについて、理解を深めるようにしてください。

過去問を見てみましょう。

第106回 PM64 
国際保健に関する機関について正しいのはどれか。
1. 国際協力機構〈JICA〉は国境なき医師団の派遣を行う。
2. 国連開発計画〈UNDP〉は労働者の健康保護の勧告を行う。
3. 世界保健機関〈WHO〉は国際疾病分類〈ICD〉を定めている。
4. 赤十字国際委員会〈ICRC〉は国際連合〈UN〉の機関の1つである。
答え:3

選択肢1のJICAは、日本の政府開発援助(ODA)を行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行う機関です。国境なき医師団は、NPO(民間の非営利的団体)の医療・人道援助団体であり、JICAからの派遣ではありません。選択肢2のUNDPは、国連機関の1つ。貧困や教育の普及など、それぞれの国にあった解決策を求めつつ、国の能力強化に向け、他の国連機関と協働している機関です。選択肢4の赤十字国際委員会は、国連の機関ではありません。

知っている方にとっては簡単、知らない方にとっては「ん?」な問題だったかと思います。看護とはあまり関連が深くはないですが、JICA・国連の活動内容を理解しておくことが大切です。また、例にもれず、過去問や模試問題でその傾向を押さえておくことも得点につながるでしょう。

 

3)状況設定問題は、継続看護から出題される。 について

冒頭で説明した複合事象の状況設定問題は、まだ出題数が少ないので、ピンとこない方もいるかもしれません。
さっそく過去問を見てみましょう。

第108回 PM118~120
Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。

問題118  Aさんの状態で考えられるのはどれか。
1. 出血性ショック
2. イレウス
3. 低血糖
4. 脱水
答え:1

問題119  Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。  
Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。
1. 自院への入院を調整する。
2. 地域包括支援センターに相談する。
3. 精神保健福祉センターに相談する。
4. 特別養護老人ホームに入所相談する。
答え:2

問題120  Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、(中略)「最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。  
Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。
1. 「法律で定められた文書です」
2. 「父親のグリーフケアに必要な書類です」
3. 「Aさんの自由意思で作成することができます」
4. 「一度作成すると内容を変更することはできません」
答え:3

この問題では、出血性ショックで救急搬送された息子が、自身の入院に伴って、認知症疑いの父親が一人になることが心配であると訴える。最後の設問では、余命宣告された息子が、リビングウィル(生前に発効される遺言書)を残す、という怒涛の展開です。

「看護の統合と実践」の新しい状況設定問題のテーマは、「複合的な事象への対応」です。つまり、複数のできごとが重なり合うように起きた場合、ぞれぞれのできごとにどのように対応するのが適当なのかを問う問題といえます。こういった問題においては、患者の状況変化に伴って、ケアの優先順位が変わる、という点を見逃さないようにしましょう。
また、過去問においては出題数が少ないので、模試問題を有効活用しておきたい部分ですね。とはいっても、1つ1つの問題は各科目において出題されたことのある問題ですので、各科目の過去問をしっかりと解いておくことも、新傾向への対処法の1つといえるでしょう。
 

今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。

以上で、今年度の国試対策勉強法は終了です。
途中からご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれません。コチラに一覧になっておりますので、国試までの残りの期間に、ぜひご活用ください。
みなさんが実力を発揮され、合格されますことを心より祈念しております!