今回は、「在宅看護論」についてです。

在宅は、ひと昔前は高齢者に関する問題しか出ませんでしたが、現在は障害者や難病患者で在宅療養が必要な場合の出題も見受けられます。下記の2)でも詳しく説明しますが、高齢者だけを対象者としている科目でないことを、改めて理解した上で取り組んでほしいと思います。
また、在宅療養をするということは、社会保障制度の活用は切っても切れません。近年は、対象者やその家族の状況に沿った、より実践的な問題も出題されています。しっかりポイントを押さえて、得点につなげていきましょう。

では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

在宅看護論の攻略ポイントは?

在宅看護論の攻略ポイントは、これだ!

1)介護保険は必ず学習しておくべき!
2)高齢者だけを対象としている科目ではないことを忘れずに!
3)状況設定問題では、具体的な支援の方策が問われる。

1)介護保険は必ず学習しておくべき! について

介護保険は、必修問題でも出題されますが、それは概要的な内容であり、一般問題ではかなり突っ込んだ出題も見受けられます。

過去問を見てみましょう。

第108回 PM65
訪問看護制度で正しいのはどれか。
1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。
2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。
3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
答え:2

介護保険による訪問看護制度の理解度を問う問題です。
選択肢1の管理栄養士による訪問としては、在宅患者訪問栄養食事指導や居宅療養管理指導があり、これらは社会保険の対象となっています。しかし、訪問看護制度では管理栄養士による訪問は保険請求できません。ちなみに、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護は保険請求が可能ですので、ご注意ください。選択肢3、医療処置がなくても、訪問看護指示書は必要です。選択肢4、常勤換算で2.5人以上の看護職員が必要とされています。

もう1問見てみましょう。

第108回 PM68 
家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。  
この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
1. 権利擁護
2. 総合相談支援
3. 介護予防ケアマネジメント
4. 包括的・継続的ケアマネジメント支援
答え:1

「地域包括支援センター=介護度認定後に相談に行くところ」と思いがちですが、それだけではありません。地域包括支援センターは、2025年に向け政府が構築を目指す地域包括ケアシステムにおいて、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域の医療や介護の包括的な支援・サービス提供体制の拠点となっているのです。そして、この問題の選択肢1~4が地域包括支援センターの機能そのものとなっています。
この問題については、ネグレクトを受けているという状況なので、行う業務としては権利擁護が該当します。

介護保険について、ここまで詳しく知っておく必要があるというなかなか厳しい現実をみましたが、いかがでしょうか。介護保険の中でも、よく出題されるポイントとしては、似たようなもの中でどれに分類されるのか、という点です
(1)予防給付なのか、介護給付なのか。また、どのサービスに該当するのか。
(2)訪問看護制度については、介護保険の範囲はどれなのか(医療保険との違い)。
(3)施設サービスの各施設の特徴
模擬試験の解答解説書や参考書にわかりやすくまとめてあるかと思いますので、そういったものを活用して、しっかり押さえておきましょう。
 

2)高齢者だけを対象としている科目ではないことを忘れずに! について

冒頭でもお伝えしましたが、在宅看護論は高齢者だけを対象者としている科目ではありません。年齢を問わず、障害者(障害者支援法)や難病患者(難病法)もその対象となります。

過去問を見てみましょう。

第108回 PM59 
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づいて、
障害者が利用できるサービスはどれか。
1. 育成医療
2. 居宅療養管理指導
3. 共同生活援助〈グループホーム〉
4. 介護予防通所リハビリテーション
答え:3

まず、設問の「障害者が利用できるサービス」が何を指すかを理解しておく必要があります。これは、障害者総合支援法第5条第1項が規定する「障害福祉サービス」のことをさしています
選択肢1の育成医療(自立支援医療)は、身体障害児を対象とし、その障害を除去・軽減する手術などの治療により確実に効果が期待できる者に対して提供される医療です。これは、障害者総合支援法第5条第22項および同法施行令第1条の2を根拠とする自立支援医療(育成医療、更生医療、精神通院医療)の1つです。また、「障害福祉サービス」には該当しません。選択肢2は、介護保険による居宅サービスの1つです。選択肢4は通称「デイケア」といわれるもので、介護保険法による介護予防のためのサービスです。選択肢3は、障害者総合支援法第5条第15項に定めらいて、障害福祉サービスに該当します。

介護保険に関する問題は必修でも老年看護学でも出題されるので、ある程度過去問や模試問題を解いていくと多くの問題に出合い、理解が深まっていくこともあると思います。しかし、障害者総合支援法に関する問題は、精神看護学での出題が目立ち、在宅看護論での出題傾向をつかみにくいかと思います。在宅看護論として押さえておきたいポイントは、以下のとおりです。
(1)障害者総合支援法は、自立支援給付と地域生活支援事業からなる。
(2)サービス利用者の自己負担は応能負担である。
(3)自立支援給付を希望する場合は、市町村または都道府県から認定を受けなければならない。
(4)自立支援給付には、更生医療、育成医療、精神通院医療の3つがある。
(5)障害福祉サービスの対象となる難病は、平成27(2015)年7月から332疾病である。
(6)自立支援給付の訓練等給付は、社会復帰への足掛かりとなるもので、就労移行支援、就労継続支援(A型、B型)などがある。

これらについて理解を深めておいてください。また、難病法についても、同様に在宅で活用するパターンを想定して理解を深めておくことをおすすめします。

 

3)状況設定問題では、具体的な支援の方策が問われる。 について

先ほどから「在宅看護論の対象は高齢者だけではない」と伝えておりますが、状況設定問題においては、高齢者を対象とした問題が目立ちます(障害児の問題も出題されていますが……)。

過去問を見てみましょう。

第108回 AM115
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1. 電磁調理器の使用を勧める。
2. 外出時にデマンドバルブの作動を確認する。
3. 在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。
4. 酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。
5.呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。
答え:1・2

在宅酸素療法(HOT)を継続するうえでの生活の注意点を問う問題です。選択肢1、酸素は燃えているものをさらに燃えやすくする性質があるため、火を使わない電磁調理器を勧めます。選択肢2、外出時は作動を確認し、外出中に酸素不足にならないように留意します。デマンドバルブとは、酸素吸入時だけ酸素が流れる仕組みのことで、ボンベ内の酸素を約3~5倍長く使うことができます。選択肢3、医療保険の給付となります。選択肢4、酸素ボンベが高温になると内圧上昇により、バルブの破損や酸素漏出をすることがあります。40℃以下で通気性のよいところに置きましょう。選択肢5、酸素流量の変更は、医師の指示によるものでなければなりません。

在宅酸素療法は過去問でも見かけますが、これ以外には、移乗時に家族の負担軽減のための福祉用具(答え:トランスファーボード)、腰部脊柱管狭窄症で要介護1、障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-1のAさんが貸与を受けられる福祉用具(答え:歩行器)というように、その対象者の介護度から、具体的な支援用具を選択する実践的な問題も複数出題されています。こういった問題を解くには、介護度の理解、貸与の制度に関する詳細、福祉用具の特徴を理解していなければ、正解にたどり着きません。似たような過去問や模試問題を解いた際に、関連する部分をしっかりとまとめ、ご自身の知識としておくことが、得点につながる勉強法かと思います。

 

今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、看護の統合と実践について説明します!