今回は、「母性看護学」についてです。

母性看護学は、現在の出題基準(平成30年版)になるあたりから変化が見られた科目の1つです。それまで周産期一辺倒だったところに、新傾向の問題が出題されるようになりました。新傾向も含め、しっかり押さえておけば点数につながりやすいのが母性看護学の特徴でもあります。

では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

母性看護学の攻略の攻略ポイントは?

母性看護学の攻略ポイントは、これだ!

1)「性」に関連した問題が増加!
2)一般問題では周産期の問題は減少
3)状況設定問題は、周産期の問題で占められている!

 

1)「性」に関連した問題が増加! について

新傾向の問題とは、この「性」に関連した問題です。いわゆる性別上の「性」ではなく、ジェンダーとしての「性」に関する出題、また性の多様性、性的嗜好やLGBTに関する問題も出題されています。詳しくない方もいらっしゃるかと思いますが、臨床現場には多様な患者さまがいらっしゃいます。今のうちから理解を深めておくことは国試のみならず、将来的にも役立つものとなるでしょう。

過去問を見ていきましょう。

第108回 AM63 
平成16年(2004年)に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、戸籍上の性別を変更することが可能になった。  
その変更の条件で正しいのはどれか。
1.15歳以上であること
2.うつ症状を呈していること
3.現に未成年の子がいないこと
4.両親の同意が得られていること
答え:3

いきなり難易度の高い問題です。正直ここまで問うのかという印象もありますので、選択肢を吟味していくしかなさそうです。
選択肢1は、日本の他の法律と照らし合わせると、15歳は若い気がします。選択肢2は明らかに×ですね。選択肢3子からみた時、どちらか一方の性の親が2人というのは、日本の法律上ナシなのでは? 選択肢4は成人の場合は親の同意は不要でしょうし、選択肢1にも関わりますが、未成年で性別変更が可能なのか……。以上の検討の結果、一番妥当なのは3という印象を受けます。
その問題に関する知識がなかったとしても、問題内容によっては、このように検討していくことで答えを導きだすことも可能です。

実際に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」をみると、その第3条に該当する部分あります。

第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

つまり、性同一性障害者の性別の取り扱いの変更は、家庭裁判所における審判によるもので、戸籍上の性別を変更するための条件は上記の5つであることがわかります。

もう1問見てみましょう。

第108回 PM57 
人間の性の意義と特質の組合せで適切なのはどれか。
1. 快楽性としての性――――種の保存
2. 生殖性としての性――――心理・社会的属性
3. 性役割としての性――――性的指向
4. 連帯性としての性――――人間関係の形成
答え:4

これも、難易度が高いですね。人間の性には、以下の5つの意義があるとされています。(1)性別としての性、(2)生殖性としての性、(3)快楽性としての性、(4)連帯性としての性、(5)性役割としての性。
1つずつ見ていきましょう。選択肢1ですが、「快楽性」は生殖(=種の保存)ではなく、快楽を目的としていることですので、×。選択肢2の「生殖性」は、種の保存を目的としてことですから、「心理・社会的属性」とは関係がない。選択肢3の「性役割」は、「男性役割・男性として」「女性役割・女性として」という役割の規定を意味していますから、「性的指向」とは関係がない。選択肢4は、相互理解を深め、人間関係を円滑にし、連帯感を深めていくという意味ですから、○。

どちらの問題も時間をかけて検討していけば答えにたどり着けそうですが、なかなか難しいですね。事前に知識として知っておけば、自信を持って答えることができます。教科書にも記載がありますので、授業で触れなかったとしても、国試前にはしっかり目を通すことをオススメします。なお、ここ3年でほかの出題された「性」に関する問題としては、性同一性障害・性別違和(107 AM54)、セクシュアリティの意義(104 PM64)、性的対象とその性的指向の分類(105 PM54)などがあります。
 

2)一般問題では周産期の問題は減少 について

冒頭で説明した通り、周産期一辺倒だったところ、一般問題においては、周産期は出題数が減っています。その代わりに出題される問題が、1)で説明した「性」の問題、そして、女性のライフサイクルに関する問題です。

過去問を見てみましょう。

第108回  AM21
日本における母の年齢階級別出生率の推移を図に示す。

図の矢印で示してある年齢階級はどれか。
1. 20~24歳
2. 25~29歳
3. 30~34歳
4. 35~39歳
答え:3

現在の女性の初婚年齢が29.4歳(平成27〔2015〕年人口動態統計より)です。矢印は、一番多い出生率の年齢階級を示していますから、29歳以降が該当することが分かります。
今、これを読んでくれている全国の看護学生さんのうち、地方在住の方にとっては、初婚年齢が29.4歳、出産のボリュームゾーンが30~34歳を「本当に?」と思うかもしれません。東京や大阪などの大都市圏においてはこれが一般的で、35~39歳での出産(初産も)は珍しいものではありません。人口割合としても、地方より東京や大阪のほうが多いので、日本全体としてみるとこういう結果になるのでしょう。

これ以外に近年出題された問題としては、妻の平均初婚年齢(106 AM 75)、更年期障害の特徴(105 PM 55)、正常な月経周期に伴う変化(104 PM65)、女性の年齢階級別労働力率の推移(104 AM31)などがあります。
 

3)状況設定問題は、周産期の問題で占められている! について

一般問題で出題されなくなった周産期に関する問題は、状況設定問題で出題されています。

過去問を見てみましょう。

第108回 AM106~108
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。

この問題は、児の対応、術後1日目、2年後に2人目の子が欲しいというAさんへの対応と問題が続きます。
いわゆる正期産で何ら問題のない出題もありますが、臨床における周産期の状況を考えると、何も問題がない褥婦さんというのは少数になってきているのではないでしょうか。この問題のように妊娠糖尿病のほか、妊娠高血圧症候群、切迫早産、前置胎盤、帝王切開なども、理解を深めておいた方が安心です。また、ただ過去問をやるだけではなくて、必ずそれぞれの最新のガイドラインもあわせて確認しておきましょう。

 

今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、精神看護学について説明します!