今回は、「成人看護学」についてです。

成人看護学は、一般問題だけでなく状況設定問題でも出題がありますし、出題範囲自体も幅広い印象がありますよね。苦手科目として挙がることも多い科目です。
とはいえ、前回の第108回の成人看護学は、比較的点数を取りやすい問題が多かったですし、近年は難易度が高い、というわけでもないです。過去問を使いながら、傾向をしっかり押さえておくことが、一番の対策につながると言えそうです。

では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

成人看護学の攻略の攻略ポイントは?

成人看護学の攻略ポイントは、これだ!

1)過去問題を丁寧に学習していこう!
2)代表的な疾患の生活指導は、ガイドラインを参考にしたい。
3)状況設定問題は、検査データの解析が重要!

 

1)過去問題を丁寧に学習していこう! について

出題基準を見るとわかるように、成人看護学の出題範囲は膨大です。それを一つひとつあたっているのは効率が悪いので、やはりここでも過去問を有効活用していきましょう。すでに何度か説明していますが、過去問を使う意義は、1)数年分の過去問をやることで、頻出テーマを知る。
2)ひとつ1つのテーマに対して、どこまで深堀すればいいのかを知る。
の2つです。
これは、成人看護学においても同様です。

過去問を見ていきましょう。

第108回 PM43 
成人患者の気管支喘息の治療で正しいのはどれか。
1.テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。
2.副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。
3.インフルエンザワクチン接種は禁忌である。
4.発作時にはβ遮断薬を内服する。
答え:1

選択肢1のテオフィリンは、併用薬などによる相互作用で血中濃度が上昇する場合があること、過剰投与になると、けいれん、昏睡などの重篤な有害作用が出現しやすいため、血中濃度のモニタリングが必要とされています。選択肢2の副腎皮質ステロイド薬の吸入後は、口腔咽頭カンジタ症や嗄声が出現しやすいので、忘れずに含嗽をする必要があります。選択肢3ですが、ウイルスによる感染は、喘息の最大誘因となるので、インフルエンザワクチンは接種するほうがよいでしょう。選択肢4ですが、発作時はβ遮断薬ではなく、β刺激薬を内服する必要がありますね。

実はこの問題、第102回午前48のリメイク問題です。第102回では、「気管支喘息に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか。」という設問で、今回108回の選択肢2とほぼ同じ選択肢が存在しています。つまり、102回の問題をやり、その選択肢を吟味し、周辺知識を広げておくことで、今回の108回の問題にも対応できる知識が身に付く、というわけです。
この連載で何度もお伝えしているので、毎回読んでくださっている方は耳にタコかもしれませんが、今回も言わせてください。過去問をやって、正解を覚えて終わりではありません、×選択肢もしっかり吟味していきましょう!

 

2)代表的な疾患の生活指導は、ガイドラインを参考にしたい。 について

上記1)に沿って、「過去問やりました、×選択肢も吟味しました」までできたら、次の段階です。周辺知識を広げる、と書きましたが、具体的に何をするのかというと、生活指導に関するガイドラインを確認しておきましょう。

過去問を見てみましょう。

第108回 AM48
慢性心不全患者の生活指導で、心臓への負担を少なくするのはどれか。
1.肺炎球菌ワクチン接種の回避
2.蛋白質を制限した食事
3.食直後の散歩
4.排泄後の休息
答え:4

「心臓への負担を少なくする」がポイントですね。選択肢4ですが、排便時の怒責は心臓へ負担がかかりますから、休息をとることによって負担を軽減させることができます。便秘にならないような食生活も大切ですね。選択肢3の食直後の散歩は、心負荷が大きいので、避けましょう。選択肢1ですが、呼吸器系疾患への罹患は、心不全の増悪につながる可能性が高いですから、接種したほうがよいでしょう。選択肢2ですが、栄養バランスの悪化も心不全の増悪につながります。バランスの良い食生活が大切です。

成人看護学においては、この問題のように、治療のみならず生活指導に関する問題もよく見受けられます。過去問をやっていると、その生活指導が「古い」「イマドキこれは臨床ではやらない」というケースがあります。こういった判断は、まだみなさんでは難しいこともあるかと思いますので、過去問をやりつつ、生活指導については、インターネット上で最新の各ガイドラインを見ておくことをオススメします。近年はガイドラインも数年おきに新しくなっていますので、最新のものを見ておくこと、看護のポイント(日常生活に関すること、職場復帰に関することなど)を押さえておくと、点数につながりやすくなります。

 

3)状況設定問題は、検査データの解析が重要! について

近状況設定問題においては、対象者の検査データが明示されている問題が多く見受けられます。正解を導くためには、その検査データを見ることによって何がわかるのか、そしてその基準値(正常範囲)を覚えておく必要があります。
過去問を見てみましょう。

第107回 PM91
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。
既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。
生活歴:3年前から禁煙している(20~59歳は20本/日)。
身体所見:BMI17.6。体温38.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。

問題 入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。
1. 水様性の気道分泌物が貯留している。
2. 呼吸性アシドーシスである。
3. 栄養状態は良好である。
4. Ⅰ型呼吸不全である。
答え:4

状況設定文内にたくさんの検査データがあります。問題文を読みながら、疾患名、疾患名が明示されていない時は特徴的な症状と、異常数値にマーク(○で囲む、アンダーラインを引くなど)をつける習慣をつけてください。その上で、問題を解いていきます。

まず一週間前から感冒様症状があり、呼吸困難と発熱(38.8℃)があることから、診断された特発性肺線維症の急性増悪、あるいは感染症を合併している可能性を疑います。
選択肢1ですが、「両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり」とのことなので、間質が炎症を起こしている状態と考えられれるため、分泌物の貯留は可能性として低いと考えられます。選択肢2の呼吸性アシドーシスだとすると、動脈血二酸化炭素分圧は上昇するはずですが、Aさんは正常範囲の35~45Torr内なので、×。選択肢3、栄養状態を反映する血清アルブミン値の基準値は4g/dL以上ですが、Aさんは2.5g/dLと低下していますので、良好ではありません。選択肢4、「Ⅰ型呼吸不全」は動脈血中の酸素分圧が60mmHg以下で、なおかつ 二酸化炭素分圧の増加を伴わない場合(45mmHg以下)を指します。Aさんの場合、動脈血酸素分圧が60Torr以下、さらに動脈血二酸化炭素分圧が正常である(=増加していない)ことからⅠ型呼吸不全だと言えます。

 
1問を解くために、これだけの知識が必要であることに、ビックリした方もいるのではないでしょうか。そもそも、状況設定文内のデータが正常かどうかも、問題文を読みながらその都度、判断しなければなりません。それをしないと、得点につながらないのが状況設定問題です。
検査データの暗記は、実習中に担当患者さんにとって重要な検査データを覚えたように、経験を生かして覚えていくほうが効率的でしょう。それでも覚えきれていないものは、過去問や模試などで出てきた時に随時覚えていきましょう。先ほど説明した通り、数値を覚えるだけでなく、「そのデータは何を意味するのか」、「異常の場合は何を疑うのか」まで覚えてくださいね!

今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、老年看護学について説明します!