このコーナーでは、全11科目、必修問題、状況設定問題の対策など、第108回国家試験に向けた国試勉強法を隔週で紹介していきます。国試対策に過去問学習はかかせません。看護師として学んでもらいたいポイントは昔も今もそうそう変わらないからです。ただし、国試も進化をとげています。免許取得のための試験ではなく、看護師の資質や現場に出た時の対応力・判断力なども合否の基準となっているのが現在の国試。そこで、医教ではこんな過去問学習法をおススメしています。

医教オススメの過去問3ポイント学習

(ポイント1)各選択肢を、なぜ○なのか、なぜ×なのかでしっかり吟味する。
(ポイント2)出題者が何を答えさせたかったのか、意図をくみとる。
(ポイント3)誤肢はただの×選択肢にあらず。読み解くべし。

医教イチオシの「○×学習法」。○×を吟味していくと1つの選択肢の2面性をとらえることができ、それだけでも学習効果が2倍ということになります(ポイント1)。そしてその作業をすると、問題を作った人がその問題で何を答えさせ、何を伝えたかったのかが自然に分かってきます(ポイント2)。さらに「誤肢」をないがしろにせず、しっかり向き合うことでさらに学習効果が上がります(ポイント3)。昨今は、過去問で×選択肢だったものを軸に問題を作りなおす出題方法もみられますので、誤肢学習はかなり効果的ですよ。以上の3ポイントを念頭に、直近の国試(つまり第107回国試)からこの過去問学習を行い、あわせて過去10年間の同テーマの過去問も同様に学習すると、最新の医療・看護技術の学習も踏まえての過去問学習になりますので、国試の最新傾向に堂々対応できる国試対策勉強法となります。


第108回国家試験本番まであと1か月になりましたね。これまで前年度の国家試験をベースに一通り全科目をおさらいしてきましたが、最後にもう一度、必修問題を取り上げてみましょう。本シリーズ第2回「必修問題」同様、今回も前年度の必修問題目標Ⅰ~Ⅳごとに1問ずつ選出しました。どれも頻出の問題ですので、過去問と合わせて○×学習をしておけば、今回の国試に別の角度から出題されても正解を出すことができますし、必修問題以外の一般科目や状況設定問題クリアのヒントにもなりますよ。

それでは、目標Ⅰ~Ⅳの国試問題各2問ずつ(第107回と過去問を1問ずつ)を確認し、その特徴をみてみたいと思います。

〔必修 目標I〕シックハウス症候群

第107回国試
午前問題3(必修問題)出題基準:Ⅰ-2-B-c「住環境」
シックハウス症候群に関係する物質はどれか。
× 1. アスベスト ← 建物の防音材、断熱材、保温材などで使用される。繊維を吸い込むと肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺癌を起こす可能性があるため(WHO報告)、現在では、原則として製造等が禁止されている。
× 2. ダイオキシン類 ← ダイオキシン類は、ものの焼却の過程などで自然に生成する物質で、通常の生活の中で微量に摂取する程度では急性毒性は生じない。
× 3. 放射性セシウム ← 通常、放射性セシウムは、放射線管理下の密封された容器の中にあるものだが、福島原発事故で大気中に放出され(セシウム134・セシウム137)、風などで地上の森林、草原、河川、海などに拡散し、被曝の可能性が広がった。地表に堆積した放射性セシウムで被曝する外部被曝、放射性セシウムを含む空気を吸い、飲食物を摂ることによる内部被曝があり、がん発生の一因と考えられている。
○ 4. ホルムアルデヒド ← ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因となる代表的な化学物質。住まいの壁、天井、フローリングなどに使用される合板の接着剤の原料として使用されていた。平成15年7月からの改正建築基準法では、ホルムアルデヒドを含むシックハウス症候群の要因となる建築材料は規格によって使用する面積が制限され、さらに機械換気の設置が義務づけられている。

シックハウス症候群とは、建材や調度品などから発散する化学物質やカビ・ダニなどによる室内空気汚染が引きおこす諸症状や健康への悪影響の総称とされています。新築の住宅建材や家具類の接着剤から発散するホルムアルデヒドは、尿素樹脂の原料に使われる化学物質で安価なため、一時期、合板などの木材接着剤に大量に使われました。眼、鼻、喉などを刺激し、発がんの可能性も高く、アトピー性皮膚炎の原因物質のひとつともいわれています。現在は建築法によって使用範囲が規制されています(下記の関連過去問選択肢2の解説参照)。×選択肢のアスベスト、ダイオキシンは定番の選択肢ですが、「放射線セシウム」は国試初登場! 東日本大震災の原発事故によって注目を集め、地域の特に小児に甲状腺の異常が見つかっていることからも(関係性は不明とされていますが)、今後も選択肢(○ or ×)として登場する可能性が大きいと思います。

関連の過去問(第103回)
午前問題4(必修問題)
シックハウス症候群で正しいのはどれか。
× 1. 主な症状は胸痛である。 ← シックハウス症候群の代表的な物質であるホルムアルデヒドは人体の粘膜を刺激するため、目がチカチカする、涙・鼻水が出る、喉の渇き・痛み、咳嗽などを引き起こすとされている。
× 2. 対策を定めた法律はない。← 建築基準法第28条の2(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)、建築基準法施行令第20条の5(法第28条の2第3号の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする)で規制されている。
○ 3. 揮発性有機化合物が原因である。 ← 厚生労働省は、シックハウス症候群の一因となる物質の揮発性有機化合物に関する濃度指針値を示している。
× 4. 住宅の気密性の低下が要因である。 ← 住宅の高気密化・高断熱化などが進み、化学物質による空気汚染が起こりやすくなった。高湿度下で繁殖した細菌、カビ、ダニ、一般的な石油ストーブやガスストーブからの一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質、たばこの煙などの有害な化学物質も要因とされている。

〔必修 目標Ⅱ〕原始反射

第107回国試
午前問題6(必修問題)出題基準:Ⅱ-7-B-c「運動能力の発達」
原始反射はどれか。
○ 1. 手掌把握反射 ← 手に触れたものをかたく握りしめる原始反射。在胎27週より出現し、32週に完成。出生直後から4か月頃までみられる。
× 2. 視性立ち直り反射 ← 体幹の立ち直り反射で、児の上体を前後左右に倒すと、元の姿勢にかえろうとする。生後6~7か月頃から出現する姿勢反射である。
× 3. パラシュート反射 ← 腹臥位の上体で児の脇を抱えて持ち上げ、水平に保ってから頭を床の方に向けると、上下肢が伸展する。生後8~9か月頃から出現する姿勢反射である。
× 4. Landau〈ランドー〉反射 ← 児を手の上で腹臥位にして水平に保ち、首を屈曲させると脊柱と下肢が伸展する。生後6~7か月頃から出現する姿勢反射である。

原始反射は、大脳の発達が未熟な新生児(生後4週未満)にみられ、生後数か月で自然に消失する反射のことです。原始反射は乳児の中枢神経機能のアセスメント、姿勢反射は中脳レベルの反射のアセスメントに使用されます。姿勢反射は姿勢が変化した時に、本来あるべき姿勢に体が立ち直るようにする反射のこと。原始反射や姿勢反射は神経系の成熟状態や脳性麻痺などの異常を示唆する重要な手かがりであるため、看護師必須の知識であり、国試でも頻繁に問われるテーマですね。

関連の過去問(第103回)
午前問題6(必修問題)
出生時からみられ、生後3か月ころに消失する反射はどれか。
× 1. 足踏み反射 ← 原始反射のひとつで、自動歩行反射ともよばれる。新生児の腋下に手をあてて立位にして少し前掲させ足を床に押し付けると、下肢を交互に動かし歩行にみえる動きをすること。出生前の在胎24週より出現し、40週には完成。生後2~3か月で消失する。
× 2. パラシュート反射 ←上記第107回国試午前問題6選択肢3の解説参照
○ 3. Moro〈モロー〉反射 ← 2〜3か月頃に消失する。仰臥位で頭を少し持ち上げ、急に後頭部を下げると、上肢が伸展して外転し、その後抱きつくようにして上肢を屈曲内転する原始反射である。
× 4. Babinski〈バビンスキー〉反射 ← 新生児、乳児の足底の外縁を踵部分から足指に向けてこすり上げ、母指が背屈し、指が扇状に開く反射である。1歳以下で反応がゆっくり出現する。持続的に存在する場合は錐体路徴候を示唆している。

〔必修 目標Ⅲ〕股関節の運動

第107回国試
午前問題6(必修問題)出題基準:Ⅲ-10-A-c「運動系」
股関節の運動を図に示す。  
内転はどれか。

× 1. 股関節の屈曲の運動である。
× 2. 股関節の外転の運動である。
○ 3. 股関節の内転の運動である。
× 4. 股関節の内旋の運動である。

股関節の運動については、「外転」「外旋」「内転」「内旋」など、文字が似ているのでどれがどれだったかど忘れしてしまいますね。目で見て覚えるのも大切ですが、自分の体でやってみてください。可動域の角度なども、まずやってみてから数字を追うと暗記しやすいでしょう。上記の問題では必修目標Ⅲで人体における股関節の運動についてきいていますが、下記の関連過去問(第99回)では、測定の方法を問うているため、必修目標Ⅳの看護技術を問う形になっています。2つ合わせて一緒に学習すれば、どんな角度から問われても対応できますね。

関連の過去問(第99回)
午前問題19(必修問題)
肩関節の外転の可動域測定で正しいのはどれか。

○ 1.  
× 2.
× 3.
× 4.
選択肢1が正解となる。関節可動域の測定では、基本軸と移動軸を確認し、移動軸となる部分を移動させて、2つの軸がなす角度を測定する。肩関節の外転運動は体幹から上肢が遠ざかる動きであり、基本軸は腕の付け根と体幹の外側を結んだ線となる。そのため、選択肢3・4は基本軸が体幹の中央になっているため誤りである。また選択肢2は、体幹から遠ざかるのとは反対の動きにおける測定なので誤りである。

●関節可動域
【頸部】 
前屈(屈曲)=0~60° 後屈(伸展)=0~50°

【肘関節】 
屈曲=0~145° 伸展=0~5°

【肩関節】
屈曲(前方挙上)=0~180° 伸展(後方挙上)=0~50°

【肩関節】
上腕外転=0~180° 上腕内転=0°

【股関節】 
股屈曲=0~90°(膝屈折の場合は0~125°) 股伸展=0~15°

【股関節】
股外転=0~45° 股内転=0~20°

〔必修 目標Ⅳ〕異常な呼吸音

第107回国試
午前問題19(必修問題)出題基準:Ⅳ-13-C-c「呼吸音聴取」
異常な呼吸音のうち高調性連続性副雑音はどれか。
○ 1. 笛のような音〈笛音〉 ←ヒューヒュー、ピーピーという高調性連続性副雑音である。気管支喘息、腫瘍による気道の閉塞などでみられる。狭窄した気道壁(細い気管支、狭窄の程度によっては太い気管支)の振動音である。
× 2. いびきのような音〈類鼾音(るいかんおん)〉 ← グーグー、ボーボーという低調性連続性副雑音である。気管支喘息、気道内分泌物などによる気道狭窄がある場合などでみられる。気道の壁に張り付いた痰などの振動で生じる。比較的太い気管支が狭窄した時の振動でも生じる。
× 3. 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音(ねんぱつおん)〉 ←ベリベリ、パリパリ、プツプツという細かい断続性副雑音である。肺線維症、肺炎初期、肺水腫初期などにみられる。呼気時に閉塞した末梢気道が吸気時に再開放する時の音。
× 4. ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉 ←ブクブクという粗い断続性副雑音である。肺うっ血、気管支炎などでみられる。比較的太い気道内の分泌物(水・痰)による膜が、吸気時または吸気時・呼気時に破裂する音。

異常な呼吸音に関する出題も頻出ですね。第99回午後18の問題と以下の関連過去問(第103回午後42)はほぼ同じ内容といえます。副雑音はその名称が聴取される音にまつわるものなので、比較的覚えやすいのではないでしょうか。そして、なぜそのような音が出るのか、気道、気管、気管支、肺、肺胞の状態を考えてみれば、自ずとその原因となる病態を推測できますね。

関連の過去問(第103回)
午後問題42(成人看護学)
異常な呼吸音とその原因の組合せで正しいのはどれか。
○ 1. 連続性副雑音――――気道の狭窄 ←連続性副雑音は、高調性と低調性に分かれる。気管支喘息など気道が狭窄した時に聴取される。
× 2. 断続性副雑音――――胸膜での炎症
× 3. 胸膜摩擦音―――――肺胞の伸展性の低下
断続性副雑音は、細かい断続性副雑音、粗い断続性副雑音に分かれ、主に気管支や肺の不具合が原因で聴取される。胸膜での炎症では、胸膜摩擦音が聴取される。肺胞の伸展性の低下した場合は呼吸音が減弱する。
× 4. 捻髪音―――――――気道での分泌物貯留 ← 捻髪音は、細かい断続性副雑音に分類される。気道での分泌物貯留では、低調性連続性副雑音が聴取される。

●副雑音の分類

以上、4目標について第107回国試の問題と過去問を○×検証してきました。ここで取り上げた各目標2問ずつの問題・選択肢・解説を合わせると、ちょうどそのテーマに関する覚えるべき内容が明確になり、出題意図が理解できると思います。
過去問学習は暗記モノではありません。同じテーマの過去問2〜3問を検証してみると、「出題者はナニが訊きたいのか」「看護師に国が期待しているのはドンナことなのか」「看護師国家レベル(まずは国家試験クリアのための学習範囲)とはどの辺までなのか」がおのずとわかってきます。それはそのまま、国試合格の後、看護師になった時に絶対に必要な知識となりますので、受験勉強やだなーなどとばかり思わずに、看護師になって現場に立った時の自分を想定しながら勉強に打ち込んでくださいね。

次回、最終回は1年間のシリーズ内容を振り返って、国試本番に向けて押さえておくべきポイントをチェックします。
(イラスト:中村まーぶる)