今回頂いた質問

関節リウマチは「主婦の病」と言われるそうですが、日常生活にどんな障害が生じるのでしょうか。

ご質問ありがとうございます。

関節リウマチは、滑膜(かつまく)関節が徐々に破壊され、全身に炎症症状がみられる進行性炎症疾患で、発症年齢は20~70代と幅広く、女性が男性の4~5倍を占めます。家事や仕事で忙しい40歳代で発症する人も多いようで、原因不明の免疫疾患とされます。手指や膝・肘関節などの小さな関節から起こることが多く、家事に支障が出やすいため、「主婦の病」ともよばれます。辛い家事ベスト3は1.風呂掃除(かがんだ体勢で浴槽をこすると手首が痛い)2.洗濯(濡れた洗濯物は重いので、洗濯機から引っ張り上げる時に指・手首が痛い)3.ぞうきんしぼり(ぞうきんをしぼる時に手指がねじれて痛い)!

関節リウマチ診断基準(アメリカリウマチ学会1987改訂)

1.少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり(6週間以上持続)
2.3個以上の関節の腫張(6週間以上持続)
3.手(WRIST)・中手指関節(MCP)・近位指関節(PIM)の腫張(6週間以上持続)
4.対称性関節腫張
5.手・指のX線変化
6.皮下結節(リウマトイド結節)
7.リウマトイド因子陽性
*1~4は6週間以上持続
*7項目中4項目を満たすもの

日常生活でしてはいけない10項目(関節リウマチ研究会)

1.頸に合わない高い枕を使う
2.膝を曲げて寝る
3.正座をする
4.和式トイレを使用する
5.床からの立ち座り
6.長距離歩行をする
7.踵の高い先細りの靴をはく
8.買物袋をたくさん持つ
9.手拭いやぞうきんをしぼる
10.蛇口の使用

「ぞうきんしぼり痛」は主婦を悩ますリウマチ症状の代表格。しぼり方を「横しぼり」から「縦しぼり」にするだけで、かなり痛みが緩和されるようです。買い物袋を手指で持たずに前腕にかけ、また、かばんを肩からかけるなど「物を持つ方法」もリハビリテーションの一環として提案・推奨されています。

質問への回答は以上です。
では、国家試験の過去問を実際に解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午後問題55

関節リウマチ患者への生活指導で適切なのはどれか。
1.押す動作よりも引く動作で仕事をする。
2.痛むときは冷罨法を行う。
3.和式トイレを使用する。
4.かばんは肩にかける。

1.× 屈筋有意の引く動作では、関節を曲げる際に負担がかかり痛みが走る。
2.× 急性期・慢性期で違いはあるが、温熱療法が有効とされる。
3.× しゃがむ行為は膝関節に負担がかかる。トイレは洋式にするほうがよい。
4.○ かばんを肩にかけた方が、肘関節、手関節、手指にかかる負担を軽減できる。

答え…4

編集部より

私たちの日常生活は、体中の関節を細かく使うことの連続で、リウマチの痛みはADLを著しく低下させてしまいますね。まずは痛みの緩和。いろいろなグッズが発売されているようなので、上手に使って痛みを緩和し、ADLが上がるように援助してあげたいですね。