今回頂いた質問

肺癌で放射線治療を受ける患者を実習で受け持つことになりました。
放射線治療の副作用として代表的なものを教えてください。

ご質問ありがとうございます。

放射線治療の副作用は、下記2つのタイプに分けられます。

急性障害

治療中および治療後早期にみられる副作用を「急性障害」といいます。
代表的な症状には、放射線皮膚炎・粘膜炎(口内炎、咽頭炎、食道炎など)・放射線宿酔(胃の不快感や吐き気など、車酔いや二日酔いに似た症状)・骨髄抑制などがあります。

晩期障害

治療後、数ヶ月以上経った頃にみられる副作用(後遺症)を「晩期障害」といいます。
頭頸部の治療では唾液腺障害、肺の治療では肺線維症や放射線性肺炎(肺臓炎)、直腸の治療では放射線性直腸炎、膀胱の治療では放射線性膀胱炎がみられるなど、照射部位により症状に違いがあります。子宮や卵巣などの治療では、不妊・リンパ浮腫・更年期障害・早期閉経などがみられることもあります。

放射線治療の副作用は、照射部位や範囲・線量・放射線への感受性などにより、症状や程度に個人差があります。放射線治療を受ける患者への看護としては、治療への不安や副作用の症状をできる限り軽減し、患者が安心して治療に臨めるようケアすることが大切です。

では、国家試験の過去問を実際に解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午後問題53

肺癌の患者に放射線治療が行われた。遅発性の反応として予測されるのはどれか。
1. 皮膚炎
2. 肺臓炎
3. 放射線宿酔
4. 頭皮の脱毛

1.× 皮膚炎は急性期の反応である。
2.○ 正しい。肺への照射では、遅発性(晩期)の反応として肺臓炎が起こりやすい。
3.× 放射線宿酔は急性期の反応である。
4.× 頭皮の脱毛は急性期の反応である。

答え…2

編集部より

放射線治療ではありませんが、輸血時にC型肝炎に感染した友人(オトコ)がインターフェロン投与の治療を受けました。幸い、ウィルスが消失したとのことで、お祝いの会を催したのですが、その時その友人がぽつりとつぶやきました。「髪の毛が抜けた時はほんとびびった」と。「髪は生えてきますから」と医者にも看護師さんに言われたそうですが、家系的に薄毛の血筋である彼にとって、「また生えてくる」という言葉はなんの慰めにもならなかったようです。無事毛髪は生えてきたようでしたが、その恐怖感は忘れられないとのことでした。