今回頂いた質問

副腎皮質ステロイドの長期内服を行うことになった患者さんを、実習で受け持つことになりました。
患者さんへの服薬指導として、特に伝えておくべきポイントがあれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。

副腎皮質ステロイドを長期間投与する場合の注意事項として、「絶対に自己判断で投与を中止しないように」と、注意を促しましょう。

副腎皮質ステロイドは、副腎皮質から分泌されるホルモンの働きを補う薬剤です。
作用としては、炎症や好酸球の働きを抑えたり、炭水化物や蛋白質などの代謝に関わったりします。
また、血液の電解質レベルの調整も助けます。

薬剤のステロイドは、自然のステロイドよりも強力かつ長時間作用するようにできています。
そのため、薬剤の投与期間が長ければ長いほど、副腎皮質の働きは徐々に萎縮・停止していきます。

そのため、薬剤の投与を急に中断してしまうと、萎縮・停止した副腎皮質の働きが追いつかず、急性副腎不全によるショックをはじめとする症状を起こしてしまいます(ステロイド離脱症候群)。
よって、副腎皮質ステロイドを減量あるいは中止する場合は、医師の診断の下、徐々に量を減らしていく必要があります。

回答は以上になります。

では、過去の国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午後問題75

長期間服用中、急に中止することによってショックをきたす可能性があるのはどれか。

1. 消炎鎮痛薬
2. 抗アレルギー薬
3. 副腎皮質ステロイド
4. ペニシリン系抗菌薬
5. マクロライド系抗菌薬

1. ×
2. ×
3. ○
4. ×
5. ×

正解は… 3

編集部より

ステロイド剤は絶対中断しないというのが鉄則です。膠原病患者は普段から、災害時に服用するステロイド剤を用意しておく必要があります。また、避難所生活では、日和見感染症の危険性が高いので、免疫抑制剤や生物学的製剤は中止するように指導されることがあります。再燃より、感染の方が危険であると考えられる場合があるからです。