今回頂いた質問

エコノミークラス症候群とはどのようなものですか?教えてください。

エコノミークラス症候群は、脚の深部静脈でできた血栓がはがれて肺に到達し、肺の血管を塞ぐことによって起こる肺塞栓症です。

車や飛行機に乗車している時など、狭い場所で長時間同じ姿勢を保つことにより、脚の血流が悪くなることで、肺塞栓症が発生しやすくなるとのことから、このような呼称が用いられるようになりました。
呼吸困難・胸痛・失神・意識消失などを起こし、最悪の場合には死に至る危険なものです。

エコノミークラス症候群は、災害時に狭い避難所や車内での生活が長期間続くような場面でも
発生することがあります。
平成16年に発生した新潟県中越地震では、車内や狭い避難所で生活していた避難住民に、
肺塞栓症が多く見られたことが大変話題となりました。

予防としては、かかとの上げ下げ運動・歩行・適度な水分摂取・定期的な換気など、
脚の血流促進を保つように工夫することが効果的といわれています。

※近年では、”エコノミークラスの座席に限らず症状が起こる”という観点から
 「ロングフライト症候群」の呼称が使われるようになりました。

では、大震災後の肺塞栓症予防について問われた国家試験の過去問題を解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午前問題54

大地震後、自家用車内での生活を余儀なくされた避難住民への肺塞栓症予防の生活指導で適切なのはどれか。
1.窓を常時開けて十分に換気する。
2.上半身を高めにして睡眠をとる。
3.座っている間も積極的に足の運動をする。
4.アルコール摂取などで熟眠できるようにする。

1.× 閉めきった車内では空気が乾燥しやすくなるため換気は必要ですが、常時開けっぱなしにする必要はありません。
2.× 脚の血流を良くするため、下半身を高めにして睡眠をとるのが適切です。
3. 正しい。
4.× アルコールには利尿効果があり、体内の水分減少によって血液の粘性が高まると血栓が生じやすくなります。避難生活中のアルコール摂取は控えるのが望ましいです。

正解は… 3

編集部より

エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で過ごすことで脚の血流が悪くなると発生しやすくなります。ですので、車内や飛行機内に限らず、長時間椅子に座って過ごすことの多い事務職の人にも、エコノミークラス症候群の症状が見られることがあります。受験生も決して例外ではありません。みなさんも受験に向けて、何時間も机に向かって過ごす機会が増えてくると思いますが、適度に机を離れて水分を摂ったり、気分転換したりすることも大切です。