今回頂いた質問

危機とは何ですか?また、危機にはどんな種類があるのですか?

ご質問ありがとうございます。

危機とは、「人生上の重要目標の達成が妨げられた時、初めに習慣的な課題解決方法を用いて解決しようとするが、それでも克服できない結果発生する状態」(カプランによる定義)のことです。

危機には、大きく分けて2つの種類があります。

成熟に伴う危機

発達危機とは、乳児期から老年期まで、人生のある時期にあらかじめ起こり得ると予測できる危機のことです。具体的には、就職や結婚、退職などがあります。

状況に伴う危機

状況的危機は、さらに2種類に分けて考えることができます。
ひとつは、失業や離婚、死別など、社会的危機とよばれるものです。そしてもうひとつは、地震や火災、事故など、偶発的危機とよばれるものです。

なお、一般的に「危機」とは、状況的危機を指す場合が多いといわれています。

どちらも、危機を感じている状況では心が大きく揺さぶられることが多く、無意識のうちにストレスを抱えていることも決して珍しいことではありません。看護師は、対象の言動に気をつけながら、適切な形で危機を乗り越えていく方法を、共に考えていく姿勢で接することが求められます。

では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午前問題90

危機の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.成人期に最も起こりやすい。
2.身体疾患患者には起こりにくい。
3.対処機制が乏しい場合に起こりやすい。
4.乗り越えることで成長する可能性をもつ。
5.フラッシュバックを伴うことが必要条件である。

1.× 危機は、どの発達段階でも起こりうる。
2.× 身体疾患が要因となり、危機が起こることもある。
3.○ 対処規制とはコーピングともいわれ、ストレス事態に対して意図的にさまざまな方法でストレスを軽減しようとする行動である。この対処規制が乏しい場合には、危機が起こりやすい。
4.○ 危機をうまく乗り越えてことで、新たな知識や達成感を得ることができ、成長へとつながる。
5.× フラッシュバックは危機の必要条件ではない。

正解は… 3・4

編集部より

「危機」の定義や種類を覚えたら、関連する用語として、「危機介入」や「危機モデル」についても把握しておきましょう! 「危機介入」は、危機状態にある患者に対する精神的な支援で使われる手法です。「危機モデル」は、危機のプロセスを模式的に表し援助者がどのようなサポートを行えばよいのかを示したもので、「フィンクの危機モデル」や「アギュララの危機モデル」があります。 それぞれとても大切なキーワードですので、教科書でしっかり確認して、理解を深めてくださいね。