今回頂いた質問

心臓カテーテル検査後に足背動脈を確認するのはなぜですか?

ご質問ありがとうございます。

心カテに関わらず大腿動脈から穿刺するアンギオの場合は足背動脈触知、冷感の有無、しびれ感、疼痛などの下肢血栓症には注意します。

カテーテル操作で血栓が末梢に飛んでしまったり、大腿動脈から穿刺した場合そのカテーテル自体が循環の妨げになってしまうからです。ですから、大腿動脈以降の下肢の末端にある足背動脈を確認することで血栓が飛んで血流が途絶えていないかどうか観察をする必要があります。

そのためには、検査前から患者さんの足背動脈の強さ、左右差などの観察が大切で、術前から足背動脈にマーキングをします。また、足背動脈がわかりにくい場合は後頸骨動脈で確認することもあります。

検査後はただ足背動脈を確認するのではなく、下肢血栓症に注意した観察が必要です。意思疎通の図れる患者さんでしたら足の指を動かしてもらう、何か症状はないかの声かけからも観察もできますね。

カテーテル検査に関する問題は出題されることも多いです。この機会に知識を整理してみるといいと思います。では、過去に出題された国家試験問題を解いてみましょう。

問題

第98回 看護師国家試験 午前問題56

右大腿動脈からの肝動脈塞栓術施行後の対応で適切なのはどれか。
1.右足背動脈を触診し拍動を確認する。
2.施行後24時間は絶対安静とする。
3.施行当日の発熱には抗菌薬が投与される。
4.鎮痛薬は肝臓への負担があるため使用できない。

1. 正しい。
2.× 検査後の安静は、全身状態とカテーテル挿入部の止血が問題なければ数時間必要となる。
3.× 抗菌薬の投与は行われるが、発熱に対するものではない。
4.× 疼痛がある場合は、鎮痛薬が用いられる。

正解は… 1

編集部より

ICU・CCU勤務では、心カテは日常的に行われます。足背動脈の確認を含めた循環動態の観察は非常に重要です。足背の確認は心カテをはじめとするソケイ部穿刺のアンギオだけでなく、大動脈バルーンパンピングや人工心肺などを装着されている患者さんの場合にも必ず観察します。なぜ観察が必要なのかがわかっていれば他の症例でも応用がきくということですね。