今回頂いた質問

「身体的個人差」について。若年者より高齢者の方が差は大きくなると言われました。逆じゃないですか?

ご質問ありがとうございます。

なるほど、わかります。自分や周りの同級生を見て、つい若い方が身体の個性は違ってるんじゃないか?と思いますよね。問われ方もあるかもしれません。大きくなるのは? と問われると、これから身体的に成長していく過程にある幼児期や青年期のことのように感じますよね。医教の教材の正答率をみても、老年期とすべきところを、4割以上の方が青年期と答えています。

まず、老年期にも子どもや青年とは違う形で発達があり、課題も異なることを理解しましょう。

老年期における老化は、遺伝要因のほかに、生活習慣や環境要因などの影響を受け、このために個人差が大きくなるんですね。

それまでの加齢変化では、暦年齢が同じであればほぼ同様の成長過程をたどりますが、高齢者では加齢に伴い体の細胞数が減少し、全器官・組織の退行変化が生じてきます。

生理的な老化現象は正常老化であり、病気ではありません。しかし外的環境因子や様々な疾患に罹患することが病的加齢現象を引き起こし、これもまた身体的な個人差につながるんですね。

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回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第88回 看護師国家試験 午前問題33

加齢現象で個人差が最も大きくなる時期はどれか。

1. 乳児期
2. 学童期
3. 青年期
4. 老年期

1.×
2.×
3.×
4.○

老年期における老化(加齢現象)は、遺伝要因のほかに、生活習慣や環境要因などの影響を受けるため、個人差が最も大きくなる。

正解…4

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編集部より

身体的な個人差だけではなく、人生経験も様々な高齢者では、価値観や痛みの捉え方、表現方法の「個人差」も大きくなります。バイタルサインは疾病の早期発見のバロメーターとして重要ですし、看護師と患者の間の「信頼関係」を確立し、根気強く相手の訴えに耳を傾けることが、患者を知る手がかりとなります。