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超 お薬入門書

看護師にとって薬理学の知識は必要不可欠!
奥が深いお薬の世界を現役の看護師&薬剤師が丁寧に解説します。
国試の過去問といっしょに学習していきましょう。

超 お薬入門書 | 第6回 医療用麻薬では依存症になりません。なぜかというと・・・

麻薬って聞くと、患者さんは「怖い」「常用性がある」というイメージが先立ってしまうこともあります。そんな患者さんの不安を打ち消してあげるためにも、看護師は医療用麻薬についてきちんと学ぶ必要があります。

1 医療用麻薬って何?

まず麻薬とは「麻薬および向精神薬取締法」で「麻薬」に指定されている薬物です(ある化学物質をさすというより法律的な分類です)。この中にはコカイン・ヘロインなど使用が禁止されている薬剤も含まれていますが、医療用麻薬も含まれています。ただし麻薬というカテゴリーに含まれていないオピオイド鎮痛薬もあります。これは、オピオイドを使用してオピオイド受容体をブロックして痛みの伝達を遮断し、痛みをおさえます。

よく、がん性疼痛にモルヒネ(麻薬)を使用しても依存症にならないんですか? という不安を訴える方がいますが、もちろん、痛みがない人がモルヒネを常用すると、脳内のドパミン(依存に関与)やGABA(依存を抑制)のバランスが崩れて薬物依存(精神的・身体的依存)をきたします。けれど、がん性疼痛などで慢性的に疼痛がある患者がモルヒネを服用しても、疼痛によってすでに内因性オピオイド(人体に生理的危機が迫ったときに放出される鎮痛効果のある物質)が体内に放出されており、ドパミンとGABAをうまくコントロールするため、薬物依存は起こりません。医療用麻薬の使用はこうした人体のしくみを前提としてなりたっているので、専門医の指示のもとできちんとした量を投与することは決して危険ではないということをきちんと伝えてほしいと思います。

<主なオピオイド鎮痛薬>

■強オピオイド(医療用麻薬)
  • ・モルヒネ硫酸塩・モルヒネ塩酸塩 カプセル・錠剤・注射薬・内服液・座薬で投与
  • ・オキシコドン塩酸塩水和物 散剤・錠剤・注射薬で投与
  • ・フェンタニル 貼付薬・注射薬・バッカル錠・舌下薬で投与
■弱オピオイド(医療用麻薬には含まれない)
  • ・コデインリン酸塩水和物 錠剤・散剤で投与
  • ・トラマドール塩酸塩 錠剤・注射薬で投与

2 現場での投与の基準は「WHO方式がん疼痛治療の5原則」!

緩和ケアの現場では「WHO方式がん疼痛治療の5原則」に基づいて、医療用麻薬が使用されています(状況によって例外もありますが、原則的に)。以下の項目がその5原則。

  1. (1)経口的に投与する(by mouth)
  2. (2)時間を決めて規則正しく使用する(by the clock)
  3. (3)WHO方式がん疼痛治療法3段階除痛ラダー(痛みの強さによる鎮痛薬の選択ならびに鎮痛薬の段階的な使用法)に沿って効力の順に薬剤を選択する(by the ladder)
  4. (4)患者ごとに個別的な量を投与する(for the individual)
  5. (5)その上で細かい配慮を行う(with attention to detail)

副作用として呼吸抑制作用・鎮咳作用・催吐作用・消化管運動抑制作用・傾眠がありますが、がん疼痛においては、第一に除痛。その上で副作用に対応していきます。

薬剤師から一言。

鶴原伸尚さん
つるさん薬局(東京都)の薬剤師。患者さん一人ひとりの想いを大切に日々奮闘中。

高齢化に伴ってか、「早くお迎えが来てほしい」と訴える高齢の患者さんが増えています。その原因のひとつが、体のあちこちの痛みのようです。

気を付けていることは「調子はいかがですか」と聞いても、痛みを思い出すことになってしまうので痛みの確認をすることはしないようにしています。ただし、痛みの度合いが変化したときには、そのことを話せる環境づくりは心がけていますね。
麻薬が利用されるようになってから、長い期間を経ています。微妙な用量調節ができるようになっているので、処方通りの用量を守っていれば、依存性について心配する必要がないことを知ってほしいと思います。

3 看護のポイント

1)痛みの強さを正確に評価する

きちんと薬効が得られているかを確認するために客観的に痛みの強さを評価する必要があります。主に用いられる評価のスケールとしてはNRSとVASがあります。

☆ちなみに・・・その1
痛みの種類を2つに分けて製剤を臨床の場では使い分けています。

  • 徐放性製剤:効果が長く続くので、持続痛に対して用いられます
  • 速放性製剤:効果が速く現れます。突出痛(一過性の痛みや痛みの増強)

☆ちなみに・・・その2
痛いと言っている人にその都度痛みの程度を聞くというのも、相手にかなりの負担がかかるように思いますが、患者さんが日常生活を送る上で痛みから解放されるよう、適切な量を適切なタイミングで投与するために必要な質問だということをきちんと伝えましょう。
また、痛みは精神的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルペインの存在によっても増悪するので、患者さんの抱える社会背景も含めてとらえられるように普段から信頼関係を築くのがベストです。

2)管理は慎重に!

患者さんにとって必要な薬ですが、「麻薬および向精神薬取締法」で指定されている薬物でもあります。厳重に麻薬用保管庫に保存し、都道府県知事の免許を受けた麻薬管理者(医師や薬剤師)が管理することが定められています。なんらかの事情で途中、投与を中止した点滴の残りや使用後のはがした貼付剤などもきちんと麻薬用保管庫で保存し、麻薬管理者に報告提出する必要があります(国試頻出のテーマです!)。

3) 患者さんの様子をきちんと観察し、記録に残す

観察をしっかり行い、作用・副作用ともにきちんと対処する必要があります。また薬剤を増量した時や、減量した時、種類を変えた時、痛みの種類や部位、程度などきちんと継続して観察し記録に残していく必要があります。普段見守っている看護師の情報は、医師や薬剤師にとってもとても重要ですからね。

4 その人らしく生きるためにその人にあった疼痛コントロールを

実際に患者さんと接していて、痛みがあることで、様々な生活上の制約を受けて本人も家族もつらい思いをするケースをたくさんみてきました。
今は、経口、座薬、貼付剤と投与方法の様々になり在宅でも疼痛コントロールができるようになって来ています。現在の医療政策では、住み慣れた地域で最期を迎えたいと希望する方を積極的に支えるようになってきているため、持続点滴で医療用麻薬を使用しなくなる方も増えてくると思います。
私たちは、患者さんが痛みから少しでも解放され、その人らしく生きることができるように支えるために適切に医療用麻薬を使用する必要が今後ますます高まっていきます。

再び薬剤師から。


麻薬が処方されると、ご本人はショックを受けたり、罪悪感を感じることがありますが、今までのつらい痛みが消えるのであれば、利用した方が良いということを伝えています。慢性的な痛みは、うつ病を誘発する可能性が大きいです。

緩和ケアを行うということは、根本的な治療が見つかっていないことになります。
痛みとは闘うのではなく、上手に付き合うことが重要です。吐き気、便秘、傾眠などの副作用は他の薬を飲むことで対処出来ます。呼吸抑制は起こしてしまうと大事に至るので、少量から開始されているか、服用量を守っているかを確認します。

5 最後に国試の過去問を解いてみよう。

第104回看護師国家試験 午後問題71(在宅看護論)
Aさん(60歳,男性)は、1年前に膵癌と診断されて自宅で療養中である。疼痛管理はレスキューとして追加注入ができるシリンジポンプを使用し、オピオイドを持続的に皮下注射している。
訪問看護師のAさんへの疼痛管理の指導で適切なのはどれか。

  1. 1.シリンジの交換はAさんが実施する。
  2. 2.疼痛がないときには持続的な注入をやめてもよい。
  3. 3.レスキューとしてのオピオイドの追加注入はAさんが行う。
  4. 4.レスキューとして用いるオピオイドの1回量に制限はない。

正解は3です。レスキューとしてのオピオイド追加注入は本人自ら行えるようになっています。選択肢2については、例の「WHO方式がん疼痛治療の5原則」の(2)と(4)に関係があります。「時間を決めて規則正しく使用する(by the clock)」「患者ごとに個別的な量を投与する(for the individual)」を原則として、疼痛がなくても自己判断でやめないように指導します。

(テキスト:sakura nurse・鶴原伸尚 イラスト:中村まーぶる)

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