白血球イメージ

さて、左右の手には何を持たせましょう?

1 突然ですが質問です

あなたはどんなときに病院に行きますか?

発熱や倦怠感…?
たとえば、
・熱っぽい ・腫れている
・痛い ・赤くなっている
または、息苦しかったり、咳が出たり、
というときにも受診するかもしれません。

倦怠感イメージ

これらの症状を「炎症の4徴候=発赤、発熱、腫脹、疼痛」と呼んでいます。
機能障害を加えて5徴候とすることもあります)

それでは自分が看護師の立場になったときには…。

目をバッチリ見開いて患者さんの徴候を観察しますよね。
例えば…。

・中枢神経:頭痛・吐き気・頸部硬直など→脳炎・髄膜炎
・呼吸器:肺音・咳・痰・息苦しさなど→肺炎・気管支炎
・消化器:嘔吐・下痢・腹痛など→胃腸炎

徴候観察イメージ

しかし…。
具体的に症状が出ればどこが感染源か予測がつく場合もありますが、どの臓器に異常があるかわからないケースも多々。また、感染症以外の炎症性疾患(悪性腫瘍・膠原病など)の場合もあります。そのため、レントゲン(胸腹部)・CT・培養検査(血液・尿・痰・創部)などプラスαの検査をしていきます。

2 バイキンから体を守る白血球

さて、話を炎症に戻します。
白血球は病原微生物などから体を防御する主役。免疫の戦士です。

白血球イメージ

細菌・ウイルスなどが侵入すると白血球が増加して異物を取り込み、消化・無害化します。
また反対に、白血球が減少するケースとして、化学療法後の骨髄抑制・薬物の副作用、血液疾患などがあります。

ちなみに、感染症と一口に言っても、
・好中球増加→細菌感染症
・リンパ球増加→ウイルス性感染症
・好酸球増加→寄生虫
など、白血球分画をみるだけでヒントはいっぱい!
検査の培養結果はすぐに出ませんから、ここで予測して抗生剤を決めるケースもあります。

3 炎症時に急増するCRP

CRPとはC-リアクティブ・プロテインの略。
炎症や組織が壊れることにより、
肝臓で作られる蛋白質の一種です。

健康な肝臓イメージ

何らかの感染症にかかっているかの検査として白血球と併用されますが、全く別のものです。
急性炎症が起きると6~8時間以内に急速に増加、48~72時間で最高値となります。
炎症が治まるとすぐに減少するので、特定の疾患の診断はできないものの重要な手がかりになってくれます。

4 白血球とCRPの関係

白血球数(WBC)とCRPの数値には「ずれ」が生じます。

感染初期:白血球↑CRP→
感染極期:白血球↑CRP↑
感染後期:白血球→CRP↓

白血球とCRPの関係イメージ

この「ずれ」があることで、炎症の活動性や重症度、経過を判断する指標となります。

基準値をおさえよう

白血球:3500~9000/μl
(ちょっとした健康状態で変化します)
CRP :0.3mg/dl以下
(低い場合は問題ありません)

基準イメージ

実習
白血球は何らかの感染性疾患、白血病、化学療法後の易感染状態など数値が高くても低くても重要。そして、CRPは感染性疾患のキーワードです。高い場合のみ考慮すれば大丈夫。実習でもアセスメントをする上で重要な情報になります。

6 最後に過去問をチェックしよう

国試第101回看護師国家試験 午前問題115

Aさん(28歳、初産婦)は、妊娠30週である。今朝から性器出血が少量認められたため外来を受診した。受診時、子宮収縮は1時間に4~5回認められ、Aさんは時々、軽い痛みを訴えた。今までの妊娠経過では、異常は認められていない。身長160cm、体重60kg(非妊時54kg)である。
診察の結果、切迫早産と診断された。その他の異常は指摘されていない。注意すべき検査項目はどれか。

1.CRP(○)←切迫早産の原因として子宮内感染が重要視されておりCRPの上昇で診断されます。
2.尿蛋白(×)
3.AST〈GOT〉(×)
4.ヘモグロビン(×)
5.プロトロンビン時間(×)

まとめイメージ

というわけで白血球とCRPに関する検査データの解説はおしまい。
次回もお楽しみに。

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)