看護師の仕事って想像以上に難しい…。
頼れるあねごに相談してみることにします。

メール

差出人
hannaki♡ikyo.jp
件名

急変の徴候を知りたいです。

宛先
anego♡ikyo.jp
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

今回は、先週の夜勤での出来事を聞いてほしくてメールをしました。
先輩と患者さんの体位変換をしていて、
「お体の向きを変えますね」と声をかけたら、
患者さんはうなずいてくれました。
そのときに、先輩が枕元にあるガーグルベースンに気づいて
「ご気分悪いですか?」と、患者さんに聞いたんです。
そうしたら患者さんが首を横に振ったので、
「いつごろ気持ち悪かったのですか?」と話しかけていました。
すると患者さんの言葉は、
明らかに非流暢な運動性失語でした。
急遽、頭部CTを撮影したところ異常は出ませんでしたが、
翌日のMRIで前頭葉に新しい脳梗塞像が見つかりました。
先輩は、患者が発語しないことに気づいたので、
クローズドクエスチョンから、
オープンクエスチョンに変えて質問をしたみたいです。
私は夜中だし、今日は夕方に吐いていたから元気ないのかな、
くらいにしか考えてなくて。
でも、そもそも、最後に患者さんの
しっかりした発語を聞いたのは何時だったか、
さっぱり思い出せません。

そのときに先輩に言われたのは、
「もちろん予測のつかない『急変』もあるけれど、
その前の『徴候』にいかに気づくことが大切なんだよ。」

でも、私には先輩みたいに経験年数もないし、
そんな直観はなかなか働かなくて難しいです…。

メール

件名

Re:急変の徴候を知りたいです。

半泣きちゃん、こんにちは。
私たち看護師がよく使用する『急変』という言葉。
たいてい、状態が悪化した場合の「予測を越えた生理的変化」を指します。
同じ症状の患者さんの受け持っていても、
看護師1年目とベテラン看護師では、
症状の変化の予測量は違う…だからこそ悩むよね。
おそらくベテラン先輩看護師は、
患者さんと接した数秒で、
患者さんの呼吸・循環・意識について、
無意識下でも初期評価をしていたのでしょう。
そのときの「あれ?」が、
聴診・血圧測定などの一次評価につながっていきます。
ここ数年、「キラーシンプトム」(※)という言葉も
見かけるようになりました。
1年目だから無理!と思わず、
そういう客観的な指標を確認すること
また普段から、「基準値」「普段の様子」を
意識すること
でも随分変わると思います。
疾患の病態生理から悪化した場合の症状を予測すること、
新しい治療が始まったら、その効果だけでなく
副作用も調べて観察する
のも1つの方法です。
がんばって!

キラーシンプトム:日本医療教授システム学会「患者急変対応コース for Nursesガイドブック」の中の造語で、「急変に結び付く危険な徴候」の意味。
第10回 気づきのもとはあちこちに。の巻

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)